ラ・ラ・ランド ー17.4.11.

監督:デイミアン・チャゼル



「夢はビター&スイート」

夢を追う狂気。

そのハッピーで残酷な季節に恋をしたら。

自立した大人の、それでいて青春物語が、

少しノスタルジックな映像美と共に繰り広げられる。

だから恋愛物として見るもよし、あなたが表現者ならその物語としても見ることができる。


幸せとか不幸せとか、成功とか失敗とか、

人生はきっとそんな単純なもので振り分けられるほど、

少ないイベントから成り立ってはいない。

あるところでは成功し、あるところでは失敗して、

こちらでは幸せだけど、こう見たら不幸。

どちらともつかぬビター&スイートが切なく心に残る。



映画の映画らしいところは、音やセリフがなくとも映像のみで満足することが出来る点だ。

美し色、大胆な構図。目を見張るような動きに、まだ見たこともない世界の俯瞰。

実写だがほうふつとさせる、どこか絵本のような映像の展開がまずもって見どころだろう。

そこへ音楽と物語が重なれば、夢の世界の一丁あがり、である。

そんなこんなで冒頭の長回しに、随所にちりばめられたミュージカルシーンこそあいまって見ごたえがある。

なぜか。

頭を空っぽにして浸れるこれらの瞬間は、やはり説明臭くない。

その一言につきるのではなかろうか。

小説はといえば文字を追わねば成立しないのだから、ある程度の説明臭さからは逃げられない。しかしいかに「説明臭さ」を回避するかは突き詰められるわけで、

ここに説明せずとも湯水のごとく伝わってくる物語の醍醐味はあるのではないかと思うわけである。

この時間の共有がまあ、難しいわけだが。

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