グレイテスト・ショーマン ー18.2.17.

監督:マイケル・グレイシー



「爆音人間賛歌!」

芸(術)とは人を幸せにするものである。

語った実在の人物であり主人公はつまり、そうでないことを前提としているからこそそう主張するのだ。

偏見、差別。

物語の中で幾つにも分断された世界は、それぞれのコミュニティーの輪を少しずつ重ね合わせる形で描かれている。

だからして葛藤や軋轢は絶えず、

しかしながら誰もが笑顔に、幸せになれる瞬間があるとすれば。


人間賛歌とも感じられるエネルギッシュな全編から、

その答として、とても原始的でだからこそ気取る前の無邪気なナニカを受け取ったような気がしている。

何はともあれラスト、待ち合わせの場所へ宣伝がてらゾウに乗って現れるヒュージャックマンが(それも雪の降る中を!)あの幻想的なシーンに妙に心をわしづかみにされた。



夢や未来に分断はなく、むしろ分断されたものをまとめ上げるため存在している。

あとは全てを包括するどれだけ大きな夢や未来が持てるか、だ。

これもサーカスを立ち上げた実業家という実在の人物をモデルにした物語である。

どちらかといえば「レ・ミゼ」後、ヒューの歌唱力と本人、ミュージカル、レビュー好きというところでブチ上がった企画モノ、のような気がしている。

実際、ポップス寄りの楽曲は、舞台となっている時代と食い違っており、

物語の運びもちょっと強引な所が目立つ。

ただし、一点豪華主義はアラをも凌駕するそのもので、歌唱と楽曲の良さがきれいさっぱり吹き飛ばしてくれていた。

期せずそうなったとは到底思えない本作。

やはり製作にかかる前に、外せぬキモやコンセプトは明確に、ということではなかろうか。

というか可もなく不可もなく凡庸、または整い過ぎた優等生よりも、不具合も愛おしく感じるほど歪なものがわたしは好きだということだろう。

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