バクマン。 ー20.12.4.
監督:大根仁
「創作魂よ、永遠なれ!」
原作であるところの漫画は未読である。
さておき、ひと昔前、高校生文学賞作家が話題になったが、こちらは現役高校生で週刊漫画誌の最高峰、ジャンプの連載を目指す物語だ。
まず架空の出版社や雑誌でなく、実在するところとリンクしている設定ゆえの説得力がハンパなかった。「職業モノ」としての解説シーンも良いあんばいで挟み込まれ、知見も広がり興味深い。
意図的にだろうが(原作もか?)、主人公らの家族が一切、顔を出さない演出方法は大正解だろう。この思い切った切り捨て方は意図的に仕込まなければ無理だったろうし、切り捨てることでナニヲ表現したかったのか、しっかりとピントの絞れた作品に仕上がっており心地いい。
ともあれおかげで毎週、出版されている漫画がどう生み出されているのか、
その舞台裏にのみ集中でき、熱意に、臨場感に、手に汗握ることができた。
賛否が分かれるようだが、座ったままの執筆バトルを、あのような心理戦の映像に仕立てた発想は好みである。
その他、映像も全体的にスタイリッシュな傾向にあり、インドア、文系ジャンルをスポ魂仕立てにしていて、職業のハードさがよく表現されていたと思う。
表面的、構造的には作家にとって連載枠を勝ち取り続けることは競争でしかないが、参入することを決めた「もっと面白いものを」という創作魂がとにかく熱い。
夢と希望と、野望と地獄と。
ワンセットで蜜の味。
主役お二人の好演も、ワキの個性も、全編中だるみすることのなかった要因と推したい。
こうした作品こそ文字にしづらい、と感じるのは、
インドアでありスポ魂であるという点に感じて止まない。
映像ならでは痛快だが、文字にすると同じような爽快感を出すことは結構むずかしいのではないかと想像する。
喋らない、黙々とした創作過程の連続というのもあるが、作家が作家の嘆きを書く行為ほどウェットにならざるを得ないからというもの大きい。
恨み節にも、説明臭くもせず、どう展開すれば同じような読後感が演出できるか。
鑑賞後、考えてしまった。
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