心の傷を癒すということ 劇場版 ー21.2.17.
監督:安達もじり
「編集は大胆でも、内容は繊細。」
テレビドラマを見そこねたため、満を持して劇場へ向かう。
ダイジェスト版ともとれるやや駆け足の展開ではあったが
本質を損ねることない仕上がりなのではないかと推測する。
泣かせにかかるような
わざとらしさのなさにむしろジワリと感動させられた。
主人公は著名な人物であったが、「特別」を感じさせない演出に
物語は誰にも起こり得る、ごくごく平凡な物語ではないかと感じて止まない。
だが、ありふれていながら呼び起こされる感動という「特別」感こそ、
主人公の人生のなんたるかを代弁しているようで尊く感じる。
それがさりげない優しさのようで、
その主人公でありながら主人公を譲るような振る舞いに
寄り添うことの気配を感じ取ることが出来た1本だった。
古くから京阪神に住まう者としては、あの頃の神戸感もまたぐっと来た。
榎本佑さんという俳優さんの良さも知れて、なお良きかな。
社会から死は遠ざけられている。
だからして稀に垣間見るソレにドラマチックな粉飾は行われやすい。
だが遠ざけねばならぬほど、実のところは巷にあふれているもので
お風呂や食事と同じく、あるべくしてあるありふれた現象だ。
ただ個人にとっては一生に一度きりの大イベントに違いなく、
ドラマチックではないがデリケートではある以上、
モノカク時に過るのは常に、このさじ加減がいかにお涙頂戴、になるかならないかの分かれ目ではないか、となっている。
劇場版ということで短縮されたせいもあろうが、
本作のさりげなさにその塩梅を見たような気もしている。
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