34(紗凪視点)


 兄ィと、あかりちゃんと、たっくんと、さ、三人で夢咲モールに来たよ。えっと、何だっけ。

 あ、そうそう!

 何を隠そう、わたしです!


 それはそうと、兄ィたちは別のフロアに行っちゃった。外の世界はこわいけれど、あかりちゃんがいるからゾンビとか出ても大丈夫だよね。ショッピングモールと言えば、ゾンビ映画では欠かせないし。


 でも不思議だな。話でしか聞いたことない夢咲モールに来ているのが嘘みたいだよ。

 いつも兄ィがテイクアウトでスイーツを買って来てくれてたけれど、会長と実際に行ったら本当感動通り越して異世界だったよ。転生したかと思ったよ。あ、会長っていうのは鸞子ちゃんのことだよ。せめて会長って呼べって怒られたんだよね。あの時の顔、可愛かったなぁ。


「紗凪ちゃん、これなんか紗凪ちゃんに似合うと思うんだけど!」

「えっ、こ、こここ、こんなっ……お、おっぱいとお尻くらいしか隠れてないよ!?」

「水着だよ? 当たり前じゃない、他に何処を隠すの? 紗凪ちゃんスタイルいいし、髪も切ってめちゃくちゃ可愛くなったし、きっとビーチの主役になれるよ!」

「そ、そんなぁ、あかりちゃんはわたしをビッチにしようとしているの!?」

「えっと、何を言ってるのかな、紗凪ちゃん」


 もっと控えめな水着がいいなぁ。あ、でも、可愛いのは可愛い……これ着てたら、わたしのこと、女の子として見てくれる、かな?

 そ、そうだよね、あかりちゃんの言うとおりだよ。ならなきゃ! 兄ィのためにも、


「あかりちゃん! わたし、ビッチになるよ!」

「ならないで!」


 結局、露出は控えめだけど、女の子らしい可愛い水着を買って、兄ィたちに合流するためゲームセンターの方に向かってたんだけど、


「あれ、誰かと話してる?」

「はっ! かいちょーだぁ!」

「怪鳥?」


 今日こそはテイクアウトするんだから!


 はっ! 以上っ、紗凪でした!

 次回からは、また兄ィの視点に戻るよ! え? これは言わなくてもいい? でも言わなきゃ読者さん混乱す————————————


 次回につづく。

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