第七十一話 カイルの能力
俺達は夜中作戦を実行する。
アルフォード国にある監獄に侵入するのである。
「それで具体的にどうするんだよ」
「俺の固有スキルが役に立つ」
監獄付近の真っ暗闇の路地裏で俺とラファとカイルは作戦会議を行う。
正確にはカイルから作戦を教えられて実行に移すという訳だ。
「俺の固有スキルは気配消失だ」
「便利な能力だな」
「ああ。暗殺や盗みなどに特化しているな」
犯罪に持って来いの能力だ。
「これから俺が気配を消して、入り口にいる警備兵から鍵を盗み出す。その後鍵を開けるから侵入しろ」
「警報が鳴るだろ」
「それは仕方が無い。どの道監獄の中に異質な魔力を感知したら警報が鳴る仕組みだ」
「だったら何も鍵なんか盗まなくても破壊すればいいだろ」
どの道警報がこんな夜中に鳴れば国中が大騒ぎになりパニックになる。
嫌でも目立つぞ。
「砦は頑丈だぞ。破壊できるのか?」
「ラファ鑑定頼む」
「うむ」
ラファが砦を鑑定する。
砦の頑丈さを確認してもらう。
「防御力は40000だ」
「砦にもステータス値があるのか!?」
カイルは驚く。
まあ正直俺も少し驚いている。
まさか無機物にもステータス値があるとはな。
まあ前に雨を鑑定してたし今更か。
「レイン行けるか?」
「任せろ。先ずは警備兵を気絶させる」
「それは俺がやる。気配消失で背後から気絶させる」
「OKだ」
カイルは監獄の大きな砦の扉を守る警備兵に一気に近づく。
そして固有スキル【気配消失】で監獄の砦を守る警備兵を一撃で気絶させる。
どうやら攻撃力が高いようだ。
カイルがジェスチャーでOKの指示を出す。
「スキル雷閃発動。スキル煉獄発動」
俺は聖剣エリデリートで攻撃する。
俺の攻撃力は4400にスキル雷閃で防御力80%削り自身に加算するので+32000。更にスキル煉獄で+1000して二倍する。
合計74800だ。
「はああああああああああああああああああああっ!」
俺は監獄の砦を一撃で破壊する。
それと同時に警報が鳴る。
ビーッビーッと大きな音が鳴る。
「早く行くぞ」
「ああ」
「うむ」
俺達は監獄の中へと足を踏み入れた。
リリィside
「侵入成功ね」
「これが侵入成功ですか!? 警報なってますよ」
「だって魔力を消す方法知らないし」
「何お茶目に言ってるんですか。国中大騒ぎですよ」
「まあ大丈夫大丈夫気にしない」
「呑気な」
リリィはソファに腰掛けていた体をゆっくり起こしてアイリス達を書斎へと案内する。
「ここは?」
「ここはね私とカイルが集めた貴重な書物の置き場所。所謂書斎ね」
「凄いですね」
アイリス達は小声を漏らしながら書斎を見ている。
「ここで何をするんだ私達は?」
「ニーナはアクセサリーを作れるのよね?」
「武器や防具も素材さえあれば作ることが出来る」
「この素材であるアクセサリーを作って欲しいの」
そう言ってリリィはニーナにあるモンスターの素材を渡す。
「まさかこれはリンガルの素材か!?」
「ええそうよ。本当は監獄からアクセサリーと魔導書を盗み出してから鍛冶師を探してリンガルの素材で作ってもらう手筈だったんだけど。まさか鍛冶師と出会えるとは思ってなかったわ、幸運ね」
「驚いたな。こんな伝説のモンスターの素材を持ってるとは。何処で手に入れた?」
「ある商人から多額のお金で買ったの」
リンガル、それはこの世界に存在する異能を持つモンスター。
一説ではどこからやって来たかは定かではないが、この世界の外からやって来たと言われている伝説のモンスターだ。
「それで私とネフィーは何をすればいいんですか?」
「ここの書物を全てこのアイテムボックスに詰め込むわ。手伝って」
「まさか逃げる気ですか?」
「ええそうよ。監獄から盗み出したら直ぐにね」
「先刻暫く泊めてくれるって言ってたじゃないですか。あれは嘘だったんですか!?」
「馬鹿ね。地下に逃げるのよ。地下で暫く生活するわ」
「地下ですか!?」
「ええ。地下に私達のもう一つの拠点が存在するわ。どの道匿うなら安全な方がいいわ」
リリィに言われてアイリスとネフィーが手伝う。
アイテムボックスに大切な書物を収納していく。
ニーナはリンガルの素材でアクセサリーを作る。
(カイルたちが上手くやってくれれば計画が実現するわ。頼んだわよカイル、レイン、ラファ)
リリィは喜びを内心に抑えながらアイテムボックスに書物を収納していく。
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