第28話 山形弁普及率

山形新幹線に乗り東京へ出張した。

若い頃は日帰りの出張など考えられなかったが、7:08分発の「つばさ124号」に乗れば9時半過ぎには東京駅である。


やや時間に余裕があったので、山形弁の普及率を調査することにした。

東京駅の八重洲中央口付近をウロウロし、山形弁で道を尋ね、どの程度通じるのか試みる事にした。


まず一人目、茶色の鞄を手に持った営業マン風の男性、30歳位。

「もす あのよー 京葉線さ のっだいんだげど  どだごどいったら いいんだべっす?」

「.....?」しばらくして「えっ? あの世?? もう一度、言って貰えませんか?」

ほとんど通じていない。


二人目は女子高生二人組、制服がとても似合う、ちょっとギャル風である。勇気を出して...

「もす すまねげんと 京葉線さのっだいんだげど どごさいったらいいんだべっす?」

立ち止まってくれたが、私をジロジロ見る。

二人顔を見合わせ次の言葉は...

「えーーーっ モス? モスバーガーかなー? なに言ってるか分かんないよこのおじさん..」

確かに私はおじさんだが...もう少し山形弁を勉強しろよ!と心の中で叫ぶ。


続いて三人目。年配のご婦人、小柄だが背筋が伸びてチャーミングな印象。

「もす 京葉線さのっだいんだげど どさいったらいいがわがらねくて おしぇでもらわんねべが?」

「あらー 京葉線はこの色を目印に、あそこの階段を下りて動く歩道にのって行けば着きますよ」

「どうも おしぇわさまです」

「東北の方ですか? お国は山形ですか?」

「んだっす」

「まぁ 私もなんですよ上ノ山ですけど、もう何年も帰ってないわねー」

などと話しをしながら途中まで着いてきてくれました。

ご親切、本当にありがとうございます。


今回の調査結果。

3名中1名に通じ、東京駅での山形弁普及率は33.3%である。

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