第62話 久しぶりの再会
名前:天水 ソラ
Lv:55(MAX) ランク:C
SP:0 職業:シャドウルーラー
STR:120 VIT:120
AGI:124 MAG:0 SEN:105
アビリティ:【成長加速】【上級二刀流術】【弱点看破】【危機察知】【弱体攻撃】+
スキル:【完全ドロップ】【限界突破】【インベントリ】【隠密】【気配察知】【生命吸収(ライフスティール)】
装備(効果):ベガルタ、ライフブレイカー、獣皇の胸当て(火炎耐性)、亡者のローブ、蟻甲の小手、オークキングの戦闘靴(加速補正)、疾風の腕輪(AGI+30)、湖水のネックレス(VIT+30)、鬼蜘蛛の憤怒(STR+30)、骸骨兵のイヤーカフ(SEN+30)
上級覚醒の宝玉を使ったあと、ソラは上位職業だろうシャドウルーラーに転職した。
これにより、(現在は装着していないが)【毒無効】や【麻痺無効】などのアビリティが増えた。
中でも有用なものは、【弱体攻撃】だ。
攻撃すると低確率で、攻撃した対象にデバフを与えるものである。
このアビリティが出てから試しに使い続けてみたが、【弱体攻撃】では毒や麻痺などのデバフが発動するようだ。
発動する確率は20パーセント前後と、そこそこの確率だ。
これが発動すると、相手がボスですら一気に片が付けられる。
【弱体攻撃】と同じく、有用なスキルが出現した。
【生命吸収】だ。
攻撃する度に少しずつ相手の体力を吸収し、徐々に体力と怪我が回復する。
ソロ活動が中心のソラにとって、回復は頭の痛い問題だった。
勿論、回復薬は常備している。だが薬は飲むか傷にかけるかしなければ効果がない。
戦闘中に、薬で回復する時間的余裕はない。
せめてもの思いで、戦闘後にしばし【自動回復】をセットするくらいなものだった。
【生命吸収】は、『即座に回復出来ない』というソラ唯一の隙を埋めるスキルだった。
体力も回復するので、疲れ知らずで戦い続けられる。
ソラが二週間戦い続けられたのも、このスキルのおかげだ。
「とはいえ、精神的な疲労は回復してくれないんだよな、これ」
体を動かし続けるためには、体力だけではなく、心の健康も大切なのだ。
さておき、次はソラのランクアップだ。
「んー。先にランクアップするのが普通なんだろうけど……。カードがまだDランクのままなんだよな……」
ここまでドロップした武具や魔石を、小刻みに売却してきたおかげで、ソラの預金は8桁に迫っていた。
以前のように、金欠で鑑定が出来ないわけではない。
1ヶ月の間にFランクからCランクまで成長した冒険者を、協会がどう思うかが不安要素だ。
「んー。でもBランクのダンジョンに、Dのカードを持った冒険者が入るのも、不自然といっちゃ不自然か」
買取店に持ち込む武具も、Dランクの冒険者に見合わないものになる。
現状、Cランクの武具を何度も持ち込んでいるが、いつかはおかしいと思われるだろう。
実際、いくつかの買取店の店員に、顔を覚えられている節がある。
「どっちに目を付けられるのが良いか、だよな」
しばし考えたソラは、翌日冒険者協会に足を運ぶことにしたのだった。
○
冒険者協会の本部に着いたソラは、早速ランク測定を行うカウンターに向かった。
その時、ふと見覚えのある冒険者が、こちらに気付いて手を上げた。
「天水さんじゃないですか! お久しぶりです、俺のこと、覚えてますか?」
「ええと、稔田さんでしたっけ」
「そうです。名前を覚えていてくれて嬉しいです」
稔田が満面の笑みを浮かべた。
(稔田さんって、こんな口調だったか?)
以前の彼と比較するが、似ても似つかない。
それは、おそらく彼が、冒険者でなくなったからだ。
「冒険者、辞めたんですか?」
「はい。一度に沢山仲間を失ってしまいましたから……」
冒険者は、虚勢を張らなければ舐められる。
舐められれば、誰の目も届かない――たとえばダンジョンの奥深くで、後ろから襲いかかられる可能性がある。
だから、冒険者は虚勢を張る。
『攻撃したら、そっちもただじゃすまないぞ』と武力を誇示するのだ。
その必要がなくなったからこそ、彼は素の状態で接してくれているのだ。
それに、この口調は今の職業のせいもあるだろう。
「冒険者協会の職員になられたんですね」
「はい! 幸い、強いコネがありまして」
「それは良かったですね」
彼は冒険者協会の制服を身に纏っていた。
彼の方が年上に見えるが、ここまで態度が丁寧なのは、職員としてソラに接しているからだ。
冒険者協会には、冒険者をまとめ上げる組織としての面と、サービス業としての面が存在する。
彼はどうやら、そのサービス業に属する部門の担当のようだ。
「そういえば、天水さんは本日どのようなご用件で?」
「ランクの測定に来ました」
「ああ、それなら俺の担当部署でもあるので、ご案内しますね!」
案内されずとも、一人で行ける。
そうは思ったが、稔田の笑顔を見ると断れない。
まるで、旅行から帰って来た飼い主を見た時の、大型犬のような喜びようである。
「天水さん、最近どうですか」
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