第46話 ポーション

新作、投稿しています。こちらも合わせて宜しくお願いいたします。

【貴族の三男、でくの坊から最強魔術士へ】

https://kakuyomu.jp/works/16816700425917978136


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 他の冒険者と競合すれば、値段がつり上がる。

 おおよその冒険者は、赤字にならない価格までしか入札しない。だがソラが自分勝手に大量に購入しようとすれば、他の冒険者パーティも黙ってはいまい。


 かならず、赤字覚悟で入札する者が現われる。

 それはソラにとっても相手にとっても、デメリットが大きい。

 なので、出来るだけ波紋を広げないよう、注意するべきだろう。


 権利購入は後で行うとして、残りのアイテムを一斉に確認する。


「Dランクのダンジョンから、ポーション系が出てくるようになったな」


 Eランクまでは、ドロップのほとんどが武具だった。

 時々武具以外が出たが、転職用の『覚醒の宝玉』であったり、変異ダンジョンのゲートをこじ開ける『突破石』のみ。


 ポーション類は一切出て来なかった。

 ここへきて、ドロップのほとんどがポーション類になっている。


「でもまあ、武具がいっぱいドロップしても、大半は不良在庫になっちゃうし……ポーションが出るのはありがたいな」


 ソラはダンジョンに出入りする時、【隠密】で姿を隠している。

 一人で出入りする姿を見られると、絡もうとする輩が現われかねないからだ。


 本来は貰えるはずの辻ヒールがまったく貰えないので、ポーションのドロップはありがたかった。


 Dランクのダンジョンでは、五種類のポーションがドロップした。

 傷回復(ヒールポーション)、疲労回復(スタミナポーション)、マナ回復(マジックポーション)、毒治療(アンチドート)、麻痺治療(アンチパラライズ)。


 前三つは、市場でも取引されている。

 ポーション類は即効性が非常に高く、飲んだその場で傷が回復する。

 そのため(効果の大小によって金額はまちまちだが)最低でも十万円は下らない。

 それが、合計39個だ。


「390万円……」


 ひえぇ……とソラは震え上がる。

 ダンジョン産の武具もかなりの値段になるのだが、如何せん鑑定士による値付けがなければ、本当の値段はわからない。


 対してポーションは価格が安定しているため、『いくらぶん持っているか』がわかりやすい。

 ポーションだけでも約400万円が、インベントリに収まっている。


「武具を入れたら……」


 考えると、恐ろしい。

 まるで宝くじに当たった直後のような気分だ。

 近くにいるすべての人が、窃盗犯のように思えてくる。


 この力は絶対に、公開してはいけない。

 そう改めて心に誓う。


「マナ回復薬は、現状じゃ使い道がないな」


 ソラはぼりぼりと頭を掻いた。

 現時点で、ソラのMAG値はゼロのままだ。

 魔法が放てる武器が手に入ったこともあって、ずっと伸ばしてこなかった。


「いまさら伸ばしても仕方ない」


 使えるかどうかわからない魔法のためにMAGに振っても、中途半端なステータスになってしまう。

 なのでこれからもMAGは振らず、近接戦闘能力を伸ばしていく。


 傷回復とスタミナ回復はさておき、毒治療と麻痺治療のドロップは、嫌でも警戒してしまう。


「今後、毒とか麻痺とか使ってくる魔物が出るんだろうなあ……」


 Dランクのダンジョンでは、害虫系の魔物が出現するようになってきた。

 Cランク以降は、間違いなく毒や麻痺を含む攻撃を行う魔物が出現するだろう。


 状態異常攻撃を受けた時、迅速にポーションが使えるようにするべきだ。


「新しいツールポシェットでも買おうかな」


 ツールポシェットにセットしておけば、もし状態異常にかかっても素早くポーションを使用出来る。

 ポシェットは腰に装着するものだが、亡者のローブがうまく隠してくれるので、他人にポーションの所持がバレる心配もない。


「アイテムのチェックも済んだし、一度装備してみるか」


 アクセサリーを填め、武器を新調する。

 STRが足りずに装備出来なかった鬼蜘蛛の足剣は、腕輪のおかげでSPを使わなくても装備出来るようになった。



名前:天水 ソラ

Lv:40(MAX) ランク:D

SP:40 職業:中級アサシン

STR:55→85 VIT:55→69

AGI:60→74 MAG:0 SEN:36

アビリティ:【成長加速】【初級二刀流術】【弱点看破】+

スキル:【完全ドロップ】【限界突破】【インベントリ】【隠密】【気配察知】

装備(効果):ライフブレイカー、鬼蜘蛛の足剣、革の胸当て+、亡者のローブ、ゴブリンキングの小手、漆黒のブーツ、疾風の腕輪(AGI+30)、湖水のネックレス(VIT+30)、鬼蜘蛛の憤怒(STR+30)


「STRが一気にVITを追い抜いたな……」


 鬼蜘蛛の憤怒のおかげで、STRが85まで上昇した。

 武器の更新も相まって、殲滅力が大幅に増加したはずだ。


 反面、STRに対するVIT値の低さが気になった。


「この状態だと、攻撃したら反発ダメージを受けそうだな」


 SPを振るかしばし考え、ソラはステータスボードをなにも弄らずに閉じた。

 もし今後、別のステータスが必須の装備がドロップしたら……。そう考えると、SPを振り分けられなかった。


「しばらくの間は、全力攻撃は封印だな」


 そう決めて、ソラはテンポラリーダンジョンの権利購入サイトを開くのだった。

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