第15話 お肉を食べようかな

 +7になった炎剣が、僅かに赤い光を帯びていた。

 焦げたような色だった剣身も、今はまるで熱した鉄のように明るい色になっていた。


「なるほど。光るのは+7からか。+6までなら、他人にバレずに精錬度が上げられるな」


 精錬度が上がるのは、今後の戦闘を優位に進める上で重要だ。

 とはいえ、いきなり全ての武具を+6には上げられない。

 何故なら精錬度を上げると、装備条件も上がるからだ。


「今後は、ステータスに合わせてメイン武器を精錬していこう」


 炎剣をインベントリに入れ、詳細を確認する。


名称:怨嗟の炎剣 ランク:S

攻撃力:+10→20 精錬度:+7

装備条件:STR+20 MAG+50

説明:ゴブリンキングの怨念が籠もった剣。その恨みが炎となり怨敵を打ち砕く。1日1回大火炎魔法発動可。


「うげっ、MAGの条件が増えてる!」


 精錬する前までは、装備条件にはSTRしかなかったが、現在はMAGが増加していた。それもかなり多い。

 攻撃力の増加幅も、短剣とは違っている。


「あー、そうか。装備によって上がり方が違うのか」


 炎剣は武器というよりも、魔法アイテムという側面が強い。なので、攻撃力の上がり幅はそこそこで、使用条件にMAGがプラスされたのだろう。


 とはいえ今回の精錬については、デメリットしかないわけではなかった。

 まず、装備条件をクリアしなくても、持つことは出来た。

 つまり、『装備出来なくても魔法が使える可能性』は残っているのだ。


 また、説明書にある『火炎魔法発動可』が、+7で『大火炎魔法発動可』に変わっていた。

 ソラの読み通り、精錬によって魔法の性能が上がったのだ。


「明日、どれくらいの魔法になってるか確認しよう!」


 明日の楽しみが増えた。

 ソラは鼻歌交じりに、インベントリから別の武具を取り出し装備する。


 小手は、装備してもほとんど違和感がなかった。少しだけ重心が変わるが、すぐに慣れるだろう。

 回避しきれない攻撃も、この小手で防ぐことができる。


 問題は、剣の方だ。

 長さは丁度良いのだが、説明文にある通り重心がおかしい。

 先端に重心が寄っているせいで、振った時にバランスを崩しやすいのだ。


「使いこなすのは難しそうだなぁ」


 攻撃力は『ホブゴブリンの棍棒』と同じで、かつ必要STRが低い。スペックだけなら、明らかに棍棒よりも使い勝手が良いのだが……。


 しばらく振ってみたが、どうしてもバランスが崩れてしまう。

 上手く使いこなせるようになるまでは、しばらくインベントリで眠って貰う他あるまい。


 ソラは精錬石で装備可能限界まで武具を強化する。

 短剣、それに小手だ。他の装備は条件ギリギリなので、精錬を見送った。


名称:短剣+ ランク:UC

攻撃力:+18→24 精錬度:2→5

装備条件:AGI+10→AGI+25


名称:ゴブリンキングの小手 ランク:UC

防御力:+10→18 精錬度:―→4

装備条件:なし→STR20



 最後に魔石だ。

 今回ドロップした魔石は、クズではない、ちゃんとした魔石だった。これならそれなりの収入が期待出来そうだ。


「今日の夕食は焼き肉かな!」


 どんな肉を食べるか想像しながら、ダンジョンを脱出する。

 しかしまさか自分がまさかあんな目に遭うとは、この時のソラは予想だにしていなかったのだった。



名前:天水 ソラ

Lv:15 ランク:E

SP:10 職業:中級荷物持ち

STR:20 VIT:13

AGI:25 MAG:0 SEN:11

アビリティ:【成長加速】【初級剣術】+

スキル:【完全ドロップ】【限界突破】【インベントリ】

装備(効果):短剣+、革の胸当て+、ゴブリンキングの小手

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