夏と私とアドンコビター

あきかん

6月12日 午前

 夏の小説と言えば、乙一の『夏と花火と私の死体』。この小説の題名は、『夏と私と観覧車』という映画をもじったものだというのは有名な話だ。

 夏と言えば映画。今年の6月は夏の暑さを先取りしたかのように陽射しが強い。こんな日の夜は映画の話をしよう。

 今週末の6月12日。アフリカン・カンフー・ナチス(以下、アフカンと略す)が公開する。今年はガーナアーリア人にとって初めての夏を迎える事になるわけだが、アフカンは夏の映画っぽさがある。

 夏の映画と言われて私が思い浮かべるのは、ジブリ映画、仮面ライダー、ゴジラだ。精巧なアニメを見た。仮面ライダーと怪人の激闘を見た。ゴジラが破壊の限りを尽くした光景を、子供の自分は家族と一緒に見た。だから、自分にとっての夏の映画は荒唐無稽で勢いがある映画を指す。そして、アフカンはまさに夏の映画と言いたい作品なのだ。

 アフカンの予告を見てほしい。ヒトラーと東條英機が生き残ってガーナの征服を目論む。何故か空手で。俺はゲーリングだ!と恰幅の良い黒人男性が叫ぶ。まあ、出落ちと言われればそれまでなのだが、この圧倒的な勢い任せこそ夏の訪れを感じさせる。

 夏とは、勢い余って過ちを冒す季節だ。肌を焦がすような陽射しに対抗するためなのか、人々は普段よりから元気を出して、振り返ると赤面して死にたくなるような馬鹿げた事に精を出すのだ。

 さて、次回は夏に冒したバカ話について語るとしよう。夏を迎えるといつも思い出す。ナツと私がアドンコビターで酔っぱらった時の失敗を。

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