改行が少なく行間も詰まっているのでWeb画面ではかなり読みづらく目が滑る。
ストーリーに関係の無い無駄な文や描写が多い。
主人公の性格が短絡的・刹那的で感情移入がしづらい。
冒険者や貴族のほとんどが頭が悪すぎるし、とても組織を運営できるとは思えないほど能力が低い。
羅列すれば小説としては致命的なほど欠点の目立つ作品と言えるだろう。
だが、主人公が作品のような性格になっているバックボーンはしっかりと描かれているし、どこか納得できる部分もある。
それになにより、読みづらいのは間違いないのにどんどん読み進めてしまう不思議な魅力のある作品。
敵役のキャラクターは思慮が浅く頑なで情けない。
主人公と敵対しつつも魅力のあるライバルや、未熟な主人公を支える作り込まれた脇役などが居ればもっと深みが出るのではないだろうか。
老婆心ながら偉そうにそんなことを考えてしまうのは、私が作者に嫉妬しているからなのかもしれない。
総じて評価するなら、欠点を補って余りある面白さ。
それを理解してくれる読者が沢山居るということが、この作品の力を示していると思う。
こういった作品は批判や暴言が寄せられることが多いだろう。
けれど、レビューや感想を必要以上に気にすること無く、自分が書きたい、面白いと思う作品を書き続けていってほしい。
間違いなく素晴らしい作品なのだから。
女神の怠慢により、加護を与えていた【主人公の母親】が【過労によって】命を落とし、主人公は不遇な生涯を送ることとなる…
そして、狼に襲われて死んだところから物語は始まる。
死後の世界で主人公の母親について情報が明かされ、【女神の怠慢】が明らかになった。
神も女神も【加護を蔑ろにした代償】である【世界の崩壊】を防ぐために、主人公に加護を与えて蘇らせるも、主人公はそんなの要らないから死なせてくれ、もしくは母を蘇らせてくれと乞い願う。
それは出来ない、と(神視点では諭され)見捨てられて蘇った直後の主人公に、妖精が魔法を放ったことで再び死後の世界に戻ることとなり、妖精の女王までもが主人公の被害者となった。
結局は魔神がしっかりと話を聞いて取り成し、更には神の遣い、女神の遣いが守護をすることでようやく物語は始まる。
結果、この時点で彼には【神の加護】【女神の加護】【天使の守護】【天使の祝福】【妖精王の守護】【妖精王の祝福】【魔神の祝福】ととんでもないレベルの力が与えられることとなり、更には神の遣い、女神の遣いが守ることとなったのだ。
彼に【柔軟な判断】という言葉は存在しない。
あるのは【敵】か、【敵ではないが味方でもない】か、【味方】か。
そして【約束を守れないなら存在する理由がない】。
約束を守ってくれるなら味方、守られなかったらそれは敵。仕掛けてくるなら全て敵、団体だろうとなんだろうと知ったことではない。
間違いなく、彼のココロは壊れているのだろう。だが、それが彼の生きる理由でもあるのだ。
まともに育てられておらず、精神年齢も決して高くないがゆえの極端な反応だが、これが大きな波乱を世界に起こしていくのだ。
おそらく、第一話のこの言葉が彼の立ち位置を一番端的に象徴しているだろう。
「地獄の海に浮かぶより現世に戻る方が辛いとは。余程、女神は見放しておったか」
文体についてはかなり読み手を選ぶ。
ただ、少年らしい愚直さと、まっすぐな気持ちが表現されるにはこの文体が最適だと思う。
「主人公最強」「異世界もの」などの要素が含まれますが、例えるのが難しい癖、つまりはオリジナリティを強く感じられる作品です。
文章も非常に独特ですが、精神構造の何かがおかしい主人公の一人称視点で進むので何故か違和感を感じません。
読んでいて所々でストレスを感じるのですが、よくあるざまぁ物と違って極端なストレス解消展開もないためスッキリしません。しないのですが、なぜかそのストレス要素すら味わい深く感じる不思議な感覚を味わいました。
クラフト要素もありチートで簡単作成系なのですが、ここでもストレスフリーで楽々生産楽しー!とはならず、不快な輩が絡んできたり主人公が妙な拘りを発揮したりしてイライラすることすらあります。
独自性の強い作品を読みたい、けどネット小説的なテンプレ要素も含まれていて欲しいという方にはオススメ出来る作品です。
女神様が繰り返したヤラカシにより、死んで輪廻の流れに戻す訳には行かなくなったしまったランス君の人生を描く作品。
あらゆる能力、祝福、加護を得たものの、本人は死んで母の元に行きたがった。
しかし女神による誓約違反により、そのまま死なせると世界が滅ぶ事態に。
無理矢理生き返させられ、預けられた武と魔術の師匠たちとの暮らしの中で自分なりに生きていくことを決めたランス。
見た目は年端の行かない子供に過ぎないランスだが、桁外れの能力と生み出す利益につられ多くの悪意ある人間に絡まれ続ける。成人する迄は能力の大半を封印しているものの現状でも理外の力を保有するワンマンアーミー。
行く先々で悪意なく力を見せてしまっては悪意ある人間に絡まれてしまう、ある意味で一話完結で繰り返すアンパンマンみたいな感じもする。皆懲りずに絡んでくるのでばいきんマンみたいな感じだろうか。
物語のキッカケが女神のヤラカシによるものもあるのか、この世界の人間は物分りが悪く、自分の都合を押し付け続ける者が多い。
同じような展開が繰り返すのでストレス耐性が必要なのと、改行が少ないので読みにくいのが難点。
しかしそれを補って余りある魅力が本作にはある。
皆コメント欄でツッコミ入れつつも次回更新を待ち望むツンデレなファンばかりなのだ。
この作者様は、子供の思考回路を描写するのが、とても上手いと思います。
常識と道徳を知り、強さこそが正義という小学生高学年の男の子が誰でも通る憧れを体現し、それでも実際に力に訴えると「どんな理由があろうとも暴力を振るった者が悪い」という周囲の常識的な大人達による、暴力に訴えなければならなかった子供からすると理不尽にしか感じられない同調圧力。
こんな理不尽の中で、心の中で愚痴を言いながら、子供ならではの「ぶっころす!」的な強い言い方をしながらも、理性的にトラブルを乗り越えようとする主人公とかんじます。
ただ、世界観が、世紀末的なガチ中世なので、ともすれば主人公に対する児童虐待or搾取にもとれる描写が含まれる作品でもあります。
ちょっと、そんな主人公に共感しすぎた人たちに作者様は絡まれているようですが、とても素晴らしい作品ですので、このまま走り続けて欲しいです。
徹底した一人称の窓から見た異世界の物語です。語るランスくんの抱えた背景や立ち位置も含め、読者は手探りしていくしかありません。
現実の世の中同様不条理だらけで、そうそう都合の良いカタルシスなんて転がってません。それにそんなに一朝一夕に物事が動くわけじゃあないんで、軽小説だと思っていちいち手っ取り早く納得させてもらえる気でいる人は、残念ながら、おそらく向いてないです。ストレスたまりますので。そしておそらく、それはこの先もずっと変わりません。
もうちょっとディスっとくと、誤字脱字とかも「書き殴り感出してる?」てくらい多いし、一人称世界なので読者の盲点はなかなか叙述してくれません。質問できないのは小説だから仕方ないよね。あんまり真面目に感情移入して読んでしまうと、冷静な想像力を失って表層で辛い目に遭いそうです。
が、ハチャメチャなストーリーなのかというと実は、ランスくん(日本語でいうと「槍」すなわち香車)の性格と同様にスジはきちんと通っているし、往くも留まるも、読み手じゃなくてランスくんにとっては、いちいち意味のあることなのですたぶん。なにより世界観の設定が秀逸なので、広いダンジョンにランプ一つで放り込まれたとでも思って冒険を楽しみたいです。(ちなみに物語中にダンジョンの場面は登場していません。今のところはしようがないのです。)
大丈夫、一緒に放り込まれたランスくんも同じく初見とはいえ、彼は準備万端、無敵の過剰装備らしいので。しらんけど。