今日も私は彼に溺れる(300字小説)

「私の事好き?」

夜、隣で寝ている彼を起こし聞く。彼は目を擦りながら答える。

「好きだよ」

彼はまだ眠いのか夢の中へ行ってしまった。

……彼は本当に私の事が好きなのか。

最近感じるその疑問を払いきれず私は彼のいない方に顔を向けた。その時背後から腕が伸びてきた。

「好きだよ」

背中に彼の温度を感じる。

耳に彼の吐息がかかる。

その温もりで私の疑問は一瞬でどこかに行った。思い違いだ。彼は私の事が好きなんだ。

自然と彼の方を向く。そして甘いキスを交わす。何回か軽く触れ、舌を絡ませる。私の頭は彼とのキスに酔っていた。


どのくらいの時間酔っていたのか。カーテンから光が漏れていた。

私は彼に微笑んだ。あぁ、今日も私は彼に溺れる。

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