第7話 生きるということ


何でゲームのような世界に転生したからといって、なぜゲームと同じ様に冒険者として生活しようとしたんだろう。

よく読んでいたラノベのように、チート能力を貰った訳じゃない。

何も冒険者にならなくても、普通に就職する道もあるんじゃないだろうか。

それに、ゲームでは何も考えることなく倒していたけれど、魔獣にだって営みがあり生活があって、斬れば血を流すし大切な人を守る為に戦ったりもする。

生きているのは向こうも同じだった。

人が生きていく為に、害獣対策や駆除は必要な事だとは思う。

日本でも害獣対策や駆除というのがあった。

生きていく為に、他の誰かが命を奪ったモノを料理してソレを食べていた。

生きていくには必要な事だ。

でも、はたして僕が直接他の命を奪う必要があるのだろうか?

自らの命を危険に晒してまでする必要があるのだろうか?


命を奪う事の恐怖、自らの命を奪われる事への恐怖を昨日経験した。

それは、前世でも15才になったばかり、こちらの世界でも3日程しか生活していない少年にとっては、とても大きな出来事だった。

だから、答えを見出だせないまま丸一日を同じ問答を繰り返し続けたのだ。


今日も同じサイクルになりかけたが、強制的に終了する事となった。


コン・・コン・・・


「お~い、お兄さ~ん。

そろそろチェックアウトの時間ですよ~。

それとも、もう一泊追加するの~?」


ノック音の後に女の子の声がこちらに投げ掛けてきていた。


「あっ、とりあえず1日追加します。

お金は身支度を済ませてから持っていきます。」


「は~い。

ご飯はどうしますか~?

そろそろ終わりの時間だけど~。」


「・・・・朝食もお願いします。」


少し残金も拙いので少し考えたが、一昨日の昼から何も食べていない事に気が付き食べる事にした。


「は~い、準備しときますね~。」


僕は、遠ざかる足音を聞きながら身支度をして食堂へと向かった。


「おぅ、あんちゃん!

・・・・・ってヒデェ顔じゃねぇか。

ナニがあったか知んねぇが、あんま思い詰めんな。

飯代はいいから、ウメェ飯でも食って元気だしな!」


「・・・・ありがとうございます。

これ追加の宿代です。」


僕は、宿代を支払ってから、朝食を食べてギルドへと向かった。

理由は2つある。

素材を売却がしたいのが1つ。

もう1つは、新人講習を受けたいと思ったからだ。

ゲームでは戦い方の基本等がメインだったが、魔獣の解体方法等もあるのではないかと思っている。


生きていくのにお金を稼がないといけない。

でも身寄りのない僕にとって、普通のアルバイトだと宿代を払う事が難しいことがわかった。

生きていく為にも、冒険者を続ける必要があった。

だったら、昨日のような事が無いように自分で出来る事は学んでおこうと思ったのだ。



「本日はどのようなご用件でしょうか?」


「新人講習を受けたいのですが、手続きや必要なものはありますか?」


「はい、3つのコースがあります。

基本動作コースは、教官から職業別の基本動作やPTでの立ち回り等を学びます。

基礎知識コースは、近辺の魔獣の特性や魔獣の解体方法を学びます。

対人知識コースは、盗賊への対応や護衛任務での注意事項などを学びます。

基本が火の日朝スタート、

基礎が風の日朝スタート、

対人が念の日朝スタートで其々2日間となっています。

全コース共に申請時に銅貨7枚が必要となります。」


「ありがとうございます。

明日からの基礎コースを宜しくお願いします。」


「はい、銅銭7枚になります。

それと、朝9:00スタートですので遅れないようにお願いします。」


「わかりました。」


あった・・・・よかった。


僕は、代金を支払ってから素材買取カウンターへと向かった。


「おっ、あんちゃん。

今日はナニ持ってきたんだ?」


僕は、プリンの核を20個、プリンの欠片15個、プリンの魔石を1個,盗虫の卵の欠片を6個、盗虫の魔石を1個渡した。


「おぅ!?また魔石が出たのか?

しかも、盗虫からも魔石が出たのか。

あんちゃんは、相当運がいいんじゃねぇーか。」


「盗虫の卵を潰したら魔石が出たんで、成虫の方はまだ倒した事ないんです。」


「なに!?

卵から魔石が出たんか?

はぁ~スゲーなかなりのレアだな。」


そんなやり取りをしながら査定は、アッという間に終わった。


「じゃあ、今日のトータル額だが金貨7枚と銀貨2枚と銅貨7枚と鉄貨2枚だ。

内訳は、プリンの魔石が1つで金3,プリンの欠片が銅貨1と鉄貨2,プリンの核がクエスト達成報酬込みで銀貨2,盗虫の卵の欠片が銅貨6,盗虫の魔石が金貨4だ。

問題ねぇーならこの書類にサインしてくれ。」


僕は、書類にサインをしてお金を受け取りギルドを後にした。


それにしても、Lukがゲームよりも凄く重要な意味を持っていそうな気がする。

確かにゲームでも魔石はレアだった。

プリンでさえ何千と倒してようやく1つ出すか出さないか位の確率だった筈だ。

今日の反応を見る限りは、ゲームと同様に本来魔石はこんなにも出るものじゃあないんだろうな。


通常のポーションを買ってから、若葉亭に戻りしっかり食事を摂り早めに睡眠をとり、明日からの講習を受けて転職先も決めて未振りになっているステータスもそれから振ることにしよう。




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現在のステータス

名前:アキラ 職業:ノービス

BaseLV9/999 JobLV9/9

Str 1 Agi 1 Vit 1 Int 1 Dex1 Luk49

@36Point

HP 120/120 SP 60/60

Skill

共通言語

HP回復力向上(休息時のみ有効)

SP回復力向上(休息時のみ有効)

魔物使役

個人念話

PT念話 new

個人ギルド念話 new

転職 new

転送サービス利用 new


所持金

金貨7枚

銀貨3枚

鉄貨2枚





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