第115話 春日山城到着

「ただいまーっ!」


「皆さん、おかえりなさい!


長旅、お疲れ様でした」


お世話係のものが水を用意してくれた。



「はいっ!


これ、京のお土産です!」


「皆さん、ありがとうございます!」



春日山城には、大量の京の土産が運び込まれた。


「さっそく、茶をたてたいな」


「え!?


着いたばっかりですよ!?


ゆっくり休んでください。景虎様」


「みんな疲れているだろうから茶を飲んでもらいたいと思ってな。


姿勢崩していいからな?


美味しい茶を飲もう」


「景虎様、なんてお優しい」


実乃は、泣きそうになっている。


「じゃ、遠慮なく!」


弥太郎は、どっしり腰を下ろした。



景虎は、茶をたて始めた。



「景虎様、いつのまに、茶を嗜むようになったのですか!?」



春日山城に残っていた宇佐美定満は、びっくりしている。



「景虎様は、大徳寺(だいとくじ)で、手ほどきを受けてきたんですよ。


所作が美しい


と褒められていましたよね」


朝信が宇佐美に言うと、


またもや、宇佐美は驚いた様子だった。



「え!?


あの茶道の総本山である大徳寺ですか!?」


「はい。


高野山行った後に、京の大徳寺に招かれちゃって」


「ひゃぁ。


たまげました」



景虎たちは、高野山から越後へ帰る途中、臨済宗、大徳寺に招かれていたのだった。




「定満さん。驚くのはまだ早いですよ。


実は、大徳寺の九十一世の徹岫宗九(てっしゅうそうきゅう)という方からね、


『宗心(そうしん)』の法号を授けられたのです!」




「えええ!


もう……。


言葉が出ません。



さすがとしか言いようがないですよ。


景虎様」



「まぁ、そんな話はどうでもいい。


よし、できたぞ!


飲んでみてくれ」


「わぉ。


ありがとうございます!」



こうして、景虎の茶で、旅の疲れをとった一行であった。

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