第100話 女人堂の由来
皆さんは高野山の女人堂の由来を知っているだろか。
実は、この女人堂には、1人の越後の女が深く関わっていた。
名前は小杉という。
心の優しい、美しい娘。
たちいふるまいも全て身につけていた教養のある女である。
女人堂の由来なんてどうてもいいー!って方は、すっ飛ばしちゃってくださいね!!
では、女人堂の由来、はじまりはじまり〜。
越後出雲崎の代官、植松親正(うえまつ・ちかまさ)という人がいた。
温厚篤実な男だった。
代官というのは、その地域のお殿様みたいなもの。
つまり、偉い人ですね!
その男は、一年交替で佐渡の国の奉行を務めていた。
ある日の仕事帰り、思いがけない大雪に見舞われ、「紀の国屋」という宿に泊った。
その泊まった部屋に屏風があり、その屏風には、和歌一首が書いてあった。
けふはここ
あすはいづくか行くすえの
しらぬわが身の
おろかなりけり
「この和歌を書いたのは誰ですか?」
男が訊ねると
「あぁ。それは私の娘が書いたものです」
「いやー、一瞬で目を奪われました。
是非とも会ってみたいのですが」
「どうぞどうぞ。会ってやってください」
小杉と呼ばれる女が男の前にやってきた。
美しい女だった。
「小杉さん。私は、あなたの和歌に惚れてしまいました。
会ってくれてありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
「実は、私には息子がいるんです。
その息子の嫁になってくれないだろうか?」
「え!?」
「あなたの立ち振る舞いは、この宿にきてからずっと見ていました。
そして、あなたの美しさを自慢しない謙虚さ。心の優しさ。
外見だけではなくて、中身も伴っている方。それが小杉さんです。
どうか、お願いできないだろうか」
「いや、私なんか田舎者です。
お殿様の家に行くなんて、滅相もありません」
「是非、来ていただきたいのです」
「はぁ」
こうして、お殿様の息子と小杉の結婚が決まったのだった。
みんなが、このお殿様の息子と小杉の結婚を祝福した。
小さな村から、お殿様のところに嫁に行く人が現れるなんて、誰もが思っていなかったから、村をあげての祝福だった。
だが、この縁談の成立を喜ばぬ者もいた……。
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