第29話 逃走中の会話

 これは、上杉憲政が平井城(群馬県藤岡市)から越後に逃走している時の会話である。



「もー! 寒すぎ! なにこれ! 最悪!!」


上杉憲政は、ぶつぶつ文句を言いながら真冬の外を歩いている。


「しょうがないじゃないですか! 北条氏康が攻めてきて危うく殺されるところだったんですから! まだ生きてるからいいでしょ!」


憲政の家臣は、憲政をめんどくさそうになだめている。


家臣は思った。ふざけんなよ!って思ってるのは、こっちだよ!と。


戦に弱くておまけに意気地もない頭首。


ほんと呆れるわー。


「憲政様、越後に行けば、才気溢れる若者が待ってますよ!(待ってはないと思うけど)


義の心を持っていて、しかも戦上手。


そして、一国で他国の数倍に相当するという潤沢な財力を有しているらしいですよ!



まさしく、最強の男! ですね!」




「19歳で越後の守り神になった長尾景虎。


すごいよなぁ。


越後の龍と言われるだけあるよな」




「その男に、泣きつけば絶対、城を取り返してくれますよ!! 



だから、雪降って寒すぎるけど頑張りましょ!」



「おう!!


なんか元気出てきた!」



こうして、越後目指して、上杉一行は、はるばる出てきたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る