断片-2 (その3)
誉子の瞳の中をのぞきこんだが、ほほえみの謎はとけない。
その瞳を見るほどに、どんどん奥深くへ吸いこまれていく。
なにか、喉がひりひりと焼けつくようだ。
「・・・外を少しばかり歩いてみたいのですが」
それだけをかろうじて言うと、
「ええ」
誉子は燃えるような瞳で見つめ返した。
ふたりは席を立った。
駅ビルの裏手の暗がりで、いきなり抱きしめてキスをした。
ルージュとメンソレの煙草の味がした。
胸をまさぐると、豊かな乳房が弾んで揺れた。
誉子の肩を抱いて、駅ビル裏手のホテル街へ入った。
だが、どのホテルも満室だった。
金曜の夜に、ホテルの部屋など空いているはずはない・・・。
それはずいぶん後から学んだ。
が、恋の初心者に分かるはずはない。
絹糸のような雨がしめやかに降ってきた。
ホテル街のネオンを濡らしはじめた夜の空を見上げ、
「ああ、ごめんなさい。なんて馬鹿なことを・・・」
誉子の手を引いて表通りへ駆け出した。
やって来たどのタクシーも、ふたりを素通りしていく。
「これで」
誉子は、黒革のバッグから一万円札を取り出し、次に来たタクシーに向かって振りかざした。
一万円札の魔法がきいたのか、タクシーはふたりの目の前でぴたりと止まった。
誉子は、後部座席の奥に腰をずらし、
「これで・・・」
と言って運転手に一万円札を渡して、行き先を告げ、
「濡れたでしょう。・・・あなたも乗って」
と腕を強く引いた。
誉子は、このターミナル駅からさほど遠くないところに住んでいた。
瀟洒なマンションの最上階の眺めのよい2LDKが誉子の部屋だった。
奥の部屋のダブルベッドに、ふたりはそのまま倒れ込んだ。
水色のドットのワンピースの背のファスナーを震える指先で下して、胸を露にした。
パッドの入ったブラジャーで下から押し上げて胸を大きく見せるからくりがよく分かった。
そのブラジャーのホックを悪戦苦闘して外したが、この先をどうしたらいいか分からない・・・。
想像したほどの巨乳ではなかったが、掌にあまるほどの、伏せたお椀のようなふくらみだった。
吸い込まれるようにして、小さな赤く熟したイチゴのような乳首を唇でまさぐり、掌でふくらみを軽く揉むと、誉子は溜息を漏らした。
長い時間かけてふたつの乳房を持ち上げて愛撫を繰り返してから、半ば開いた唇に唇を重ねた。
今度は、ルージュとメンソレの味ではなく、ねっとりとした熱い吐息を感じた。
舌をからめて来たのに、同じように舌をからめた。
なるほど、相手がしたことをこちらもしてあげれば、女は喜ぶのか・・・。
ワンピースを下へ引き抜くと、かろうじて股間とお尻の谷間を隠す可愛らしい小さな純白のパンティーが露になった。
それを荒々しく剝ぎ取ろうとすると、
「きゃっ」
誉子はパンティーを押さえたが、さして抵抗はしなかった。
隠そうとする手をはねのけ、艶やかな黒い陰りの奥に指を差し入れると、そこはすでに湿っていた。
ワイシャツ姿のままだったのに気が付いて脱ぎはじめると、誉子はかいがいしく手伝い、ソックスから下着まで脱がせ、じぶんと同じように丸裸に剥いた。
裸になって横になったふたりは、互いの股間を指でまさぐった。
やがて、誉子の指でもてあそばれていきり立ったモノを、どうしても彼女の中に収めたくなった。
それを察した誉子は、じぶんが下になり、両足を立てて大きく開き、両手を添えてゆっくりと導き入れた。
いきり立ったモノの先から根元までぜんぶを収めると、誉子のそこのぬめりがやさしく包みこんだ。
「ああ」
のけぞった誉子が、いきなり腰を二度三度と突き上げたので、こらえずに誉子の奥深くへ精をほと走らせた。
若さというものは、すばらしいものだ。
しばらく横になったあと、ふたりはキスと愛撫からやり直した。
今度は長く誉子の中にとどまり、喜悦の声をなんどもあげさせることができた。
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