屋久島編
第80話 旅の準備 屋久島種子島
それから、計画を立てるために毎日のように私の家が集まる場として使われていくのだが。
いつも通りと言えばそうなので、特に変わらないような気もする。
高藤先輩は母の勤めてた会社でアルバイトの練習をしたり、大学入学の準備をしたり忙しそうだけど、「屋久島とかこの機会を逃したら行かないかもしれないから」と春休み私たちの都合に合わせるべく何やらしている感じ。
はるなっち、ヒナっちたちは気楽な感じで
「屋久島って言ったら縄文杉は外せないでしょう」
「でも、歩いて5時間とかかかるみたい」
「往復10時間なら一日時間取っておけばいいじゃない」
「登山用の靴とかも持っていかないと」
「バイク乗る時に兼用の靴履いていけばいいじゃない。
屋久島って、すごいジャングルなのかしら?一月に35日雨が降るとか言われてるんでしょ?
苔むした森にでかい木とかいっぱいあって、マングローブとかあって、猿とかいっぱいいるのかしら、こだまとかダイダラボッチとか出てくるのかしら」
「フィクションの物語と一緒にしない。それに沖縄の島と間違ってない?屋久島は九州とあんまし変わらないでしょ。
猿と鹿はたくさんいるって話は昔、家にあった椋鳩十の本で読んだことある。
でも、猿と鹿とか阿蘇でも会うでしょうに」
「地元で会うのと旅先で会うのはテンション違うでしょう。
ところで椋鳩十って何?」
「屋久島にも縁がある、和製シートン動物記的な言われ方するくらい、動物との物語をたくさん描いてる人。小学校の図書館とかよくあるし。
本人が屋久島にもよく行ってたみたいで、屋久島の猿とか鹿を題材にした話結構ある。でも、読むなら「マヤの一生」がお勧め、泣ける」
などと、想像だか物語の中だかの話を進めている感じだった。もののけが住む森のようなところ、として屋久島の白谷雲水峡とか名前も上がるとこだけど。
できればバイクで移動できる範囲がいいわ。歩くのは疲れる。
種子島では宇宙情報センターに行ってロケット打ち上げを見るのだとか言ってるけど。その時期に打ち上げるタイミングとか有るのかなあ?
まずは宿泊先を押さえてから、それによって日程を決めようということになった。
私たちは春休みなので、平日を基本にして宿泊費を安く抑えようとか考える。
そんなことを数日やって、いく場所が大体決まってきた。
民宿はタンポポとか言うとこに2泊、根岸屋というとこに1泊する予定。タンポポは離れを一棟借りれるので、私たちにはもってこい。料理が美味しいとネットでも有名らしいし。
タンポポ3泊でもよかったんだけど、3日空いてなかったのもあるし、この根岸屋で出てくる料理の写真に皆が魅了されたというのもある。ここは小さなところで2組くらいしか宿泊できないらしく、山奥の小さな隠れ家的なところらしい「伊勢海老が出るかもよ!」とか言ってるけど、禁漁区間だと無理らしいので、その辺どうなんだろう。
ここもちょうど私たちが行く1日だけ空いてたので押さえた、というところ。
まだ行ってもないのに宿のレビューとか料理写真を見てはああだこうだと言い始めているが、あまり前情報入れない方が楽しめると思うんだけどなぁ。そこは人それぞれなんかな。
屋久島は普通にバイクで走ると1日で一周できるくらいなので。阿蘇一周するのと同じくらいの大きさなのね。
3泊予定で1日は縄文杉ルート、あとは屋久杉ランドとか観光地を回る感じで計画を立てていく。
種子島は、ロケット打ち上げのとこに行くのを計画して調べてみると、私たちが屋久島滞在時に予定してる日程で入っていたりする。
「これは、ロケット打ち上げを種子島の現地で見ることを優先するかどうか」
といっとき議論になったが、宿の都合と計画日程の都合により、現地で見ることは無理という判断になり。でも屋久島の安房というとこから見えるらしいと聞いたので、その日は見えるとこに行くという計画を組んでみたり。ちょうど3泊目に取ってる宿が安房の上あたりなので良い感じ。
「ロケットの打ち上げは近くで見てみたいけど、日程変えるほどではないわね」
とヒナっちが言ってたりする。
私は、別にロケットとかテレビで見てたらいいと思うのでそこまで興味ないのだけれど。と言ったら、
「ライトスタッフ、っていう昔の映画があって、それみるとロケット好きになるわよ」
とか、はるなっちに勧められてしまった。
「アニメならオネアミスの翼ね。今度アマプラで見られるから一緒に見るわよ」
とかいう話になり、はるなっちが宿泊した際にその二つを一緒に見ることになったが、確かにそれなりに面白かった。
なるほど、ロケット打ち上げには多くの人のロマンが隠されているのね。
なんとなく自分とは違う世界の人たちがなんかやってる程度にしか思ってなかったけど、映画とか見ると自分もその世界に入り込んでしまいそう。
宇宙情報センターの見学が少し楽しみになってきた。
屋久島では3泊するけど、種子島は1泊、そして帰ってきて鹿児島で一泊。
種子島はホテルしか空いてなかったので、いわさきホテル、というところに宿泊予定。海が見える良いところらしく4人で宿泊できる部屋が安く取れた。民宿よりちょい高いけど仕方ないわね、たまには良いホテルに泊まるのも必要よ。
合計5泊6日の予定
初日は朝5時くらいからバイクで高速乗って鹿児島港まで一直線。
そこからフェリーに乗って屋久島に移動。
まずはヤクスギランド、自然博物館などを周り屋久杉、島の勉強をする。
翌日は縄文杉を目指し、3日目は私は父の知り合いに会いにいく予定。
他のメンバーは観光をする予定となっている。その日がロケット打ち上げの日予定なので、その時間には見えるとこに移動する予定。午前中がロケット打ち上げみたいだから、一緒にそれを見てから私が別行動する感じになるのかな。
父のメンバーの人に会いにいく話は最初からしており、私の目的はその父のバンドメンバーに会いにいき話を聞くことが第一という事で。
はるなっち、高藤先輩なども興味がありそうだったけど、今回は「得体の知れない話になるから」一人で行くことになっている。
みんなには「遺産相続の件で、父の妹さんから弁護士の人を通じて手紙を持っていくように言われたから」と難しいことを言うと、なんか部外者が立ち入ってはいけない雰囲気を納得してくれたみたい。
4日目に種子島に移動、そのまま観光して、5日目の昼まで観光して船に乗るという予定。
宿に泊まるので、特別何かを用意する必要はないし。
「キャンプしようよ!」
と、はるなっちが言うが、ヒナっちが
「3月の南の島だったら蛇とか虫とか普通に出てくるよ、多分。島の蛾とか巨大なのいるし、見たことないような虫がたくさん飛んでくるかも」
と言って、はるなっちの野望を砕いていた。ナイス!
キャンプ道具まで持っていくのは流石に嫌だわ。それにキャンプとかやったことないし。
縄文杉も道はしっかりあるらしいので、登山用具ほどたくさん持っていかなくてよいのがいい。
それよりも、3日分の荷物をバイクに乗せたことがないので、それ用の鞄とか入れ物用意しないといけないじゃない。
そんな道具を揃えるため、夜はみんなで通信販売のサイトやらそれ使ってる人の動画やらを見て参考にしてみたり。
旅行と違って、ツーリングの場合は積載する量をいかに減らしていくかが重要なので、それについて色々と考えてしまう。
女子だから、一応服とか多く持っていきたいと思うのだけれど
4人が私の家に泊まった時に、その話をしてみると
「下着だけ交換して、あとは同じで5日過ごせばいいじゃん」
とヒナっち。割とその辺気にしないんだ。
雨に濡れたら、汗びっしょりになったどうするの?と聞くと
「替えを1枚ずつ持ってたらいいんじゃない?」
とかサラッと言うし。
「バイクに乗ってる時はジャケットに専用のライダーパンツ履いてるから下に着るもの同じでもわからないわよ。
だから2着分用意してて、登山する用に1セット持っていくくらいでいいんじゃないの?その登山してる日に宿で服を洗濯してたら良いわけだし。
あとは下着を多めに持っていけば」
「下着も結構荷物になりかねないし」
と言って私がストーブ前に干してるブラジャーを指さすと
「ブラとか嵩張るの持っていく必要ないじゃない」
そりゃ、はるなっちはそうだろうけど、それなりに揺れる人には重要なアイテムなのよ。
「インナーが一緒になったものを身につけていけばいいんじゃない?」
と高藤先輩。
でも、それでもあまり支えられてる感がないしなあ。
スポーツ系を用意するかなぁ。
下着や服を収納する方法も教えてもらった、ジップしてロックする袋に服を詰め込んで、空気を抜いて口を閉めると、真空状態ぺったんこになってしまった。
「これで下着とか柔らかいのは場所取らなくなるし、急な雨でやられても大丈夫」
高藤先輩はさすがである。
カメラとかセットで持っていくつもりらしいので、一番荷物が多くなるのは高藤先輩ではなかろうか。
私は、壊したら怖いからフルサイズの一眼レフカメラは持っていかない。ミラーレスの小さいのがもう一つ家にあったのでそれを持っていく。
ペンタックスのQ7とか書いてあるおもちゃみたいなカメラだけど、レンズが交換できるから面白い。
望遠とズームレンズ持っていくと良いかな」
着々と出発の準備が整い。なぜかガレージには旅のための道具が溜まっていく。
みんな家じゃなくて荷物が我が家に届くようにしてるから。
そこで、荷物をパッキングしたり、乗せてみたり、色々といじったりと旅は準備の時間が楽しいと感じてしまう。
このまま、旅の当日がこない方が幸せなのではないか?
と思ってしまうけど、旅は旅でもっと楽しいはずだから。
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