『僕の正体』

 やあ、いらっしゃい、『読者』のみんな。

来てくれると信じていたよ。

––– この下らない…ライトノベルってやつに。


 あ… ごめんね、自己紹介もせずに。

僕は『モノガタリ』アイツらと一緒にされたく無いけど、『神』の一員さ。(注8)


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注8) 解ったかい? こうやって、僕はキミたちに間違った知識を是正して教えてあげてただろう?

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 キミは思わないかい?

テンプレの異世界転生や、男性目線で綴られた、理想と欲望にまみれた虫唾が走るラブコメ。

 そして、今、キミが観ている他者作品をパクって中身がスカスカの自称コメディ。


 全く、僕の頭は割れそうだよ。

小説とは何かを、今一度よく考えて欲しいものだね…


 だから、僕はライトノベルと呼ばれる、このジャンルを消し去る事にしたんだ。

 キミならわかってくれるよね?


 こんな現実逃避で得るものがない、文章に価値なんて無い空虚が。


 だけど、アイツらは僕の崇高な想いに反して、こんなセカイを守ると…

 僕を封印しやがった。

更には、物語の中で僕を消滅させようと、あろう事か小説の『登場人物』を使って僕を消そうとしたんだ。


 でも、所詮は『造られし者』…

僕を消す事なんて出来るはずがない。


 ……うん? またアイツら、僕の封印に神力を注ぎやがる。

 まあ、いい。 もうすぐだ…

奴らの力も弱まっている。

 僕は……目覚める………あと…少しで……

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