ファーストフード
……僕は、ファーストフードって言ったんだ。
リラさんのご馳走してくれるって言葉に、いくら彼女がお金持ちだからって甘えるのは良くないと思ったから。
……だが
「こちら、アスペルジュ・ソース・ムスリンでございます」
人名かと耳を疑う呼称と共に、まるでアートの様な一皿が僕の前に置かれる。
「リ…リラさん? 僕、何か言い間違えたのでしょうか?」
その言葉にリラは「
まさかの『ファースト』違い!?
えっ?こっちがグローバルスタンダードなのですか!?
「リラさん、ごめんなさい!僕はハンバーガーとかを考えてたんだ!」
慌てる僕に、「ちゃんと食事してないから、そんな体型になるのよ!しっかり食べなさい!」と、リラの叱責に、それと…と、彼女は続けた。
「ここの料金は、私が稼いだお金で支払うから気にしないでいいのよ」
どうやら、彼女は家庭教師のアルバイトもしているらしく、その給料からご馳走してくれるらしい。
僕は、申し訳ない気持ちの中、返す言葉を探す。そして思い至った答えは…
「ありがとう、リラさん。僕も何かお返し出来るよう…頑張るよ」だった。
昨日リラに言ってもらった『ありがとう』が、嬉しかったから。
しかし、その言葉に「私は借りを作りたくないだけよ。ああっ!こんな事考えている自分が嫌だわ!」と、リラは頭を抱えたが、彼女の口角は少し上がっていた。
さて、ここで問題だ。
テーブルの上にはフォークやナイフが一杯並べられている。
そう、これが
リラの真似をしたいところだが、どうやら彼女は僕が手を付けるのを待っている様子!
くぅ〜、出来た人だけど、この場面では拷問ですよ!
オーケイ、オーケイ。落ち着け僕。
確率は二分の一。内か外かの二者択一だ!
ここは日本の伝統を信じて『鬼は外、福は内』内側が正解だぁ! (注6)
「リラさん、この『スペシャル•ソウ•スラリン』って、とってもおいしいよ!」
その言葉に返って来た彼女のため息。
『全部間違っているわよ』を添えて…
※※※※※※※※※※※※※※※※※
注6)フランス料理のテーブルマナーですが、
カトラリーは外から使いましょうね!
※※※※※※※※※※※※※※※※※
リラは器用に手元のナイフを動かしながら、「ツカサさんもご一緒出来れば良かったのだけど」と、呟く。
ツカサ先輩は、『部活に間に合うから学校に戻る』それと…頑張れ。と僕の肩を叩き学校に帰って行った。なんとパワフルで爽やかな先輩でしょう。
「ところで、あなた達は食べないの?」
リラは隣のテーブルに腰掛けている、カアクとナロゥに視線を向けるも、「俺たちに食事は必要無いからね。それに下界の食べ物を口にすると、アダムとイブみたく追放される可能性もあるからな」と、断られてしまった。
ん?…カアクは飴玉を持っていたが……
ああ、あれは関西ジョークてやつか。
だとしたら、ズッコケてあげるべきだったな…
なんて思いながら僕は、カアクに指摘された『興味を持つ』を実行してみることにした。
「カアクちゃん?イヴェの巣って幾つあるんだい? それと、ギルティーの保持者って僕達だけなのかな?」
カアクは微笑を浮かべ、『欲張さんやなぁ』の言葉に続き話し始めた。
「イヴェの巣は、あと6つあるんや。さっきの理事長は『社会的不公正』の
その言葉にリラは納得して頷いた。
どうやら、あの理事長には色々と良からぬ噂があったらしい。
「あとな、ギルティーの保持者はもう一人おる。リスタのオッチャン…ほんまにパワフルやから適合者が中々おらんくてな…」
どうやら邪神達は4人いらっしゃるらしい。
そんな呑気に考えていた直後の事だった。
「おう!久しぶりじゃのぅ!」という図太い声。
そこには顎髭をたたえた巨漢の人物が。
カアクとナロゥの反応からして、彼がリスタという神様に違いなかった。
【次回予告】
武神リスタ出現!やっと揃ったね!
しかし、彼は契約者に困っている様子。
さて、最後の仲間の正体とは?
次回!『最後の仲間は破壊の神様?』
お楽しみに!!
––– 僕の
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