ヤシロを冠する者

  〜前回までのあらすじ〜 さ!


 やあ!初めまして。俺は真島 司。ツカサって呼んでくれよな!

 やっぱり君は察しがいいね。そう、俺もギルティ保有者なのさ。

 シヴから他の保有者の事を聞いていたけど、一人は同じ学校だったなんて驚きだね。

 しかも、もう一人の保有者…あの大御グループの令嬢と同棲しているなんて、本当に隅に置けないよね。

 でも…まさか、あんなに影の薄い…

いや、人を見た目で判断してはいけないな。


「サガノギ ルティって誰ですか?先生」

ユウトの言葉にツカサは思った事だろう……

気付いて…ない…だと?と。

「いやいや、待て待て!ユウト君? これだよコレ!」

 ツカサは慌ててポケットから白いメダルを取り出すと、僕の目の前にかざした。

「そんな…まさか! 司先輩もギルティ保有者なんですか?」


 ツカサ先輩は、短い溜息を漏らすと、

「わかってくれた様だね。そう、俺の有罪判決ギルティは『ヤシロ』だってさ」

 そう語るツカサ先輩の腰に、後ろから手を回す『シブ』と名乗った先生は悪戯な笑みを浮かる。

「…そして、私が彼の契約者、シブよ。よろしくね」そう言ってウインクをした。

 ああ、シブさんのお胸がツカサ先輩の背中に…

 それに動じていない事から察するに、

此奴こやつ耐性持ち経験済みかっ!?


「僕も、あんな『豆タンクこつぶっこ』じゃなくて、シブさんがよかったなぁ…」僕の心の声は口から溢れ出ていた。

「せやな、こつぶっこ…うまいからなぁ」

「そうそう、あのサクサク食感がね……」

…ゾクゾクするのは気のせいでしょうか?

 振り向くと、うん、笑顔のカアクちゃん。

その後、僕が最高位謝罪体制をとった事は、云うまでもないでしょう。


「それよりユウト!リラちゃん助けに行くで!」

 カアクの緊急を告げる声が、僕の中の不安を呼び起こす。

裏側世界バックサイドから干渉されたんや! 今、彼女は1人で戦っとる!」


 カアクが早口で続けた『ユウトの幻影をこの学校に造っておくから安心しろ、直ぐシエスタ学園に向かえ』という声は僕の頭に入って来なかった。

 –––ここからシエスタ学園まで、自転車でも1時間は掛かる… リラさんは、大丈夫なのか?

 僕の心配は顔に出ていたのだろう、ツカサ先輩は僕の肩を掴んで言った。

「任せておけ、俺のギルティの出番だ」と。


「カアクちゃん? このメダルって、あなたが造ったんですよね? …この『差』は何なんでしょう?」

 僕はシヴが運転する白いスポーツカーの後部座席で、首から下をビニール袋に入れられた状態で腰を下ろしていた。

 決して、僕が汚いからじゃないよ!


「メダルは関係あらへん、所有者の罪が具現化した代物やからな」

 ツカサ先輩のメダルはスポーツカーに形を変えた。

 乗っている僕は他のメダルに触れてはいけない為、こんなパッケージ姿になっているのだが…何だか僕の扱い、雑じゃ無いですか?

 そして、シブさんは吸い込まれなかったものの、ハンドルとシートに半ば融合した状態になっていた。

 シブは運転しながら「あら? やっぱりカアクには荷が重かったかしら? ユウトくんもギルティが『セイ』の下位互換で『サガ』になっちゃってるし…」と、ふふっと笑う。


 ……これはマズイ雰囲気!

キューバ危機のような一髪触発の空気と、カアクの歯軋りが車内に満ちてゆく!

「ユウト、この性悪女神を抹殺して、ギルティを『神殺しゴットキラー』にジョブチェンジや! 武器は薄っぺらい女神をほふる『ペーパーナイフ紙ごろし』を用意したる!」


 シブもカアクに「何ですって!? 未熟神のくせにっ!」と、眉間に皺を寄せる。

 はい、仲が悪い事はわかりました。

取り敢えず前を見て運転しましょうね!

 ほら、「シエスタ学園が見えて来ましたよ!」


 目前にはシエスタ学園と、いつの間にか辺りを覆う紫の霧…

 その範囲は相当な広さがある様だった。


 ––– 早く、リラさんを助けないと…


       【次回予告】

 助けを待ちながら一人戦い続けるリラ。

新たな仲間と共に、ユウトは彼女を救う事が出来るのか!?

 

  次回!『存在意義』

            お楽しみに!!


––– 僕の歴史に、また新たなる1ページ!

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