第41話「二人の旅行その7」


さて、そろそろ寝るのだが、やっぱ旅行だから、恒例の行事はあるんだろうな。


そう枕投げ・・・な訳ないか。


まぁ、そっちじゃないです。



「あのマリアさん。なんで俺の布団に入り込んできてるんですか」



布団は二つ用意されているのだから、各々で寝たいところなのだが・・・。



「It's always like this」(和訳:いっつもこうじゃん)


「まぁ確かにそうだけど、今日は布団が二つあるんだから」



いつもこうじゃんと言われても、確かに、いつもは布団を敷くスペースがない関係上、一つのベッドで二人仲良く寝ているわけだけど、何度も言うように、今日は二つ布団がある。一緒に寝る必要性を感じない。そういうことだ。



「This outfit is very easy to take off」(和訳:この服って、すごく脱ぎやすいのよ)



マリアが着ている浴衣、洋服に比べたら脱ぎやすいのかもしれないけど、そういうことじゃない。



「絶対脱ぐなよ!?」


「how come?」(和訳:どうして?)


「俺にその気はない」


「・・・?」



そんなマジに疑問顔されても困る。



「分かった。一緒に寝るのは良いから、しっかりと服は着ろ」


「嫌だって言ったら?」



急に日本語で喋り出したな・・・。



「嫌なら、自分の布団で寝てください」


「それはもっと嫌だ」


「だったら、現状で我慢してください」


「・・・バカ」



小声でつぶやくと、少しはだけた浴衣を直さないまま、俺の腕に抱きついて目を閉じてしまった。


これは、俺の理性の勝利ということでいいのかな?


いや、これからが勝負なのかもしれない。


と言うのも、マリアが最後に残した爆弾があったのだ。


はだけた浴衣の下・・・この子、少なくとも上の下着つけてないぞ!?


ヤバい・・・油断してたわ。


こりゃ、朝起きるまで、マリアと俺の理性の戦いは続きそうだ。


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