ラストドーターズ
平野 斎
永遠の少女たち
鉄と錆、どこまでも続く鈍色の空————。
止まない雨は無い、とは何処かで聞いた事がある、が、汚れた血と欲望の雨を常とする身の上には随分と縁遠い話だ。そう思いながら窓の水滴をぼんやりと眺めている白髪の少女。幾許かの幼さを残しつつも、諦念を含んだ眼差しは、どこか達観した雰囲気を漂わせている。サーシャという名のこの娘が、先程から気怠げな溜め息を吐いているのは長く降り続く雨でも、いわんや自らの境遇を顧みての事でも無い。己が上で欲望のまま一心不乱に腰を振り続ける者の存在に、である。
名も知らぬ男が部屋に来てから既に四半日、その内の七割が挿入に充てがわれているのだから。
それにしてもこやつ、まだ果てぬか。全くこれだから
「サーシャちゃん、も無理、出すよ。いくいくいく!」
間抜けな嬌声を上げ、力なく覆い被さる肉の塊の脇をすり抜ける真白い髪は、無言のまま浴室へと向かう。
汗と涎と精液に塗れた身体を洗い流しながら、少女は独りごちる。
話には聞いていたが、
身を沈めたバスタブには自浄作用を促す
この匂いを嗅ぐ度、サーシャは初めから有りもしない母親の記憶に思いを馳せ、無意識に胎児の様に身体を丸める癖があった。
彼女たちはそこで培養された、
さて、と、そろそろ効いてくる頃合いか。
ラストドーターズ 平野 斎 @hiranoitsuki
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