学校の名は?

バブみ道日丿宮組

お題:空前絶後の運命 制限時間:15分

学校の名は?

「君の名は?」

 振り返り言葉を作る。

 そこにはもちろん誰もいない。これはただの遊びに過ぎない。成功した試しもない。

「……はぁ」

 とうつむく俺に、

「どうしたの?」

 俺に言葉が返ってきた。

 頭を上げると、1人の少女がそこにはいた。

 桃色の髪色に、緑色の瞳、そして控えめな胸。服は近くにある高校の制服。おそらく下校中。

「……どうもしないけど、どうして?」

「だって、なにもないのに振り返ってたから、なにがあったんだろうって思って」

 彼女の疑問は当然のこと。

 突然人が振り向けば、そこになにがあるのか興味を持つ。それでそこになにかがあればいいのだが、なにもなければ不自然となる。

「君の服って隣の市の制服だよね? ここまで2時間もかかるのにどうしてここにいるの?」

「……たまたま歩いてきた」

 理由として弱い。

 近くにある高校は駅から5分。駅から近いとはいえ、俺が通ってる高校は遠い。たまたまここまで歩いてくるのは不可能だ。どんな暇人であっても、20駅以上離れたこんな場所にはこない。必然がなければおかしい。

「ふーん、そうなんだ。ねぇ、時間ある?」

「時間……? どうしてそんなことを聞くんだ」

 あのねと、彼女は右手人差し指をたてる。

「君に興味あるからかな。絶対たまたまここに来たわけじゃないと思うんだ」

 嬉しそうな笑顔を見せられた。胸の中で何か少し動いた。

「俺なんかごく普通の生徒だよ」

「ううん、背丈は私よりずっと小さくて、胸もないけど、ここにいる。ここにちゃんといるんだ」

 彼女の手が俺の頭にのる。

「こんな小さいのに偉いね」

「子供扱いするなよ。これでも高1だ」

「私高3だよ」

 ふふんと自信のある鼻息。

「ほら、放課後は時間が少ないんだよ」

「ちょ、ちょっと待てよ」

 手を引かれるがままに俺は彼女に連れられて街へと繰り出すのだった。


 これが俺と彼女の出会いであり、俺が転校するきっかけとなった運命。

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学校の名は? バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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