第160話 石ころ


気がつけば知らない街を歩いていた

僕の手にはひとつの石ころがあって

なぜだか分からないけれど僕は

その石を大切なもののように握りしめた


歩いても歩いてもどこにもたどり着かず

知らず知らずのうちに握りしめる手に力が入る

てのひらに触れるざらついた石の感触だけが

僕をここに立たせてくれるから


だからどこでもない場所へと歩こう

正しい道のりなんてきっとどこにもない

歩き続けられるだけ歩いていこう

この石だけを握りしめて

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