第115話 月とひこうき


夕暮れ前輝き出した月の横を

掠めていくひこうきに

「ぶつかる!」なんて思ったのは

まだ何も知らなかった頃のこと


今はもう月と飛行機には距離があり

ぶつかりはしないと知ってるけれど

それでも今も

月に近づくひこうきを見れば

軽く息を飲んでしまう


空しいも切ないも

寂しささえも知りつくした

くだらない大人のくせに

あんな風に月に近づきたいと

ひこうきを見て羨むのだ

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