第95話 冬の日


容赦のない雨が

キンと冷たい冬を連れてきた

昨日まで開けていた

コートの前のボタンも

今朝は皆キツく閉じられていて

初めての寒さに身を縮めていた


それでもまだ季節に馴染めない冬は

ほんの少し場違いなようで

遠慮がちに風を吹き付けた

かじかむ指先、痛みを覚える頬

ああこれが冬だったと 

道ゆく人々は一様にそう思った


街を彩っていた秋色は

徐々に冬へと塗り替えられる

寂しさを覚えてもそれは

決して止まることはない

ただ冷たい風だけが

飽きることなく吹いていた

そんな、冬の日



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