第62話 虹の中


いつの間にか見失っていたものは

初めからなかったものとなり

この手に掴んでいたはずの

跡形さえ今は夢の中


そういうものだと諦めながら

なんとなく見上げた空は

悔しいくらいに澄んだ青で


もしもそこへと還るのならば

失くしたものも報われるからと

願うように目を閉じれば

淡い虹の中にあなたがいた

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