物流
バブみ道日丿宮組
お題:昨日食べた交わり 制限時間:15分
物流
「やっぱ知識だけの釣りっていうのはうまく行かないものだな」
竿を投げてから、数分後の言葉。
そういうのはもっと数時間待機してた人がいうんじゃないだろうか?
「……待つのも釣りの醍醐味じゃないの?」
私はずっとスマホをいじってるから、正しい釣りの作法を守ってるとはいえない。
「餌があればすぐ食いついていけると思うだろ?」
「お腹が空いてないだけなのかもしれない」
それはないだろう。
学校で飼ってるグッピーなんて、餌をあげればあげるたびに餌を取りに来てる。ハムスターも同じでひたすら頬にひまわりを溜め込む。クラスメイトなんてお弁当いつも残してるし、不味いパンはいつも売店で売れ残ってる。私たち人間はそうして資源を無駄にしてる。
魚や、ハムスターは、生きることに必死なのかもしれない。
そう考えてみると、大食い大会とか、早食い対決なんてものは、生命に対する冒涜なのかもしれない。今そんなことをすれば、袋叩きにあうだろう。
というか、そんなものを提供できるところがないか。
「どうした? 真面目な顔して?」
「んー、スーパーで待機してたほうが良かったんじゃないかなって少し思って」
私たちがこうして海にいることには理由がある。
物流が止まって、食べ物が流れてくることがまれになってしまったからだ。医療機関は機能してるのはせめてもの救いだろう。
そういうこともあり、こうして魚釣りをしてる人は多い。だいたい1メートル感覚で人が竿を持ってる。もちろん他人だから、そんなに近づかなくてもと思うさぞ思うだろう。
だが、釣り場は人で溢れかえってる。今後はもっと増えてくだろう。
「スーパーは母さんが待機してるだろ。俺たちは別の方法を試すしかない」
「そっか」
学校は物流が回復するまで休校。家にいてもやることはないし、外に行っても遊べるところはない。
そうなってくると、今晩のおかずに神経を注ぐしかない。
ということもあり、海は人で溢れかえってる。
はまぐりなどの貝をとってる人もいるが、冬のこの時期に入りたいとは私には思えない。
「ねぇ、魚が海からいなくなったんじゃない?」
ふと浮かぶ疑問。
「それはないだろう。この地球って器は大体が海。その中から生き物だけがなくなるってことはないだろう」
「そっか、そうだよね」
頷く私に満足したのか、父親は竿に意識を集中させた。
物流 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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