227話_サキュバスと怨を吐き出すもの
エデモアに永遠怨痕(エタニアタトゥ)の探知機をもらい、僕達は発信源探しを始めることにした。
ソフィアが幸せに感じたエネルギーを使い、呪いの発信源を逆探知する。そのためにはソフィアが幸せに感じるようにする必要があった。
天界に移動した僕達は、ソフィアが楽しいことを考えられるように準備をすることにした。
「さて、それじゃ早速探知を始めようか。ソフィア、何か僕に出来ることがあれば言ってくれ」
「ありがとう、シオリ。でも大丈夫です。なんとかしてみせます」
ソフィアは探知機を手に持つと、目を閉じて集中する。
僕とミュウ、レティ、シェイドはそれを黙って見守る。
「……」
「…」
「何も起きないですわね」
レティの言うとおり、探知機はうんともすんとも言わない。
「でも、あの時たしか反応したわよね?」
ミュウの言うように、レティ以外は骨董屋でその探知機が反応するのを直に見ていたのだ。
発信源を指し示すように探知機に表示が出ていたはずだ。
「たしかに反応してたと思うんだけど」
「姉様が幸せだったってこと?シオリ何か言ったんじゃないの?」
「いや、特には。ソフィアのためならなんでもする、ってくらいだったと思うけど」
ピーン。
ソフィアが手に持っていた探知機が反応する。
「……」
「……/////」
「姉様、今のって」
「今ので喜んだってことですわね」
レティは呆れたような視線をソフィアに向ける。
「そ、そんなわけでは」
「シオリ、さっきのもう一回言って。姉様のためならなんでもする、って」
「ソフィアのためならなんでもするよ」
ピィィィン。
探知機がしっかりと反応する。
「ちゃんと反応するんじゃないですの……。ソフィア、欲しがりさんですわね」
更に呆れた視線を向ける。
「べ、別にそういうわけでは/////」
「姉様、それは言い逃れ出来ないわ」
「シオリ、これをしてはどうだ」
シェイドがシオリに耳打ちをする。
「……いや、流石にそれは恥ずかしくないか?」
「探知機の反応を考えると必要だろう」
「そうかなぁ、わかったよ」
僕はシェイドの助言通りにソフィアの後ろに立つと、ギュッと抱きしめてあげる。
「きゃん」
ピィィィィィン。
今までとは比べものにならない音で探知機が反応する。
「ダメ押しね。これで探知できそう」
「ごめん、ソフィア驚いた?」
「いえ、そういうわけでは(エデモア、どうしてこんな装置にしたんですかー)」
◆◆◆◆◆
カテナの森には特に何事もなく到着した。
森の入り口もこれといって変わった様子はない。
「ここがカテナの森?」
「そうだな。私も初めて来たが普通の森のようだ」
「よくある森といえば森ね」
ミュウの言うとおり、森の中は特に変わりはない。
僕はソフィアに探知機を見せてもらい、発信源の方向を確認する。
「この中を通らないといけないみたいだな」
「そうみたいですね」
レーダーはこの森の中央を示していた。
「この森に犯人がいるってことなのかしら」
「さぁ、詳しいことは行ってみないとわからないな。とりあえず向かってみるか」
ギュッ。
ソフィアと繋いでいる手とは反対の手をミュウに掴まれる。
「どうした?」
「迷子になったら困るでしょ」
と言いながらちゃっかり指を絡めて恋人繋ぎをしてくる。
「あーっ、ちょっとゴシック女!!」
「早い者勝ちよ。油断した青女の負け」
「ムキーッ」
ミュウにチャンスを奪われて悔しがるレティ。そこまで悔しがらなくてもいいと思うのだが。
「さて、行きましょう。シオリ、姉様」
「あ、あぁ。皆くれぐれも迷子にな……」
振り返ってそこまで言葉が出たところで、僕は驚きに目を丸くしていた。
「いなくなってる……?」
ついさっきまで目の前にいたレティ達の姿が見えなくなっていたのであった。
◇
「皆はどこに行ったんだ…?」
「……わかりません。さっきまで一緒にいたのに」
「一瞬で消えたわね」
僕とソフィア、ミュウ以外は姿形が全く見えなくなってしまった。
「私達は手を繋いでいたので大丈夫だったんでしょうか?」
「その可能性は高そうね。手を離したらはぐれてしまうかも」
「皆離れ離れはまずいな。ひとまず出口に向かうとしようか」
3人は手を繋いだまま近くにあった出口へと足を運ぶ。
しかし、歩いて数歩だったはずの出口なのに、同じような景色が続いている。
数分歩いたところで、ミュウがおもむろに立ち止まった。
「おかしいわね。流石にここまで遠くはなかったはずだけれど」
「目と鼻の先だったよな。出口って……」
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