219話_サキュバスとあなたに癒してあげたくて_続

「姉様、随分楽しそうなことしてるじゃない」


「ミ、ミミミミミミュウ!?」


大いに取り乱したソフィアの声が風呂場に響く。


「えっ、今日はお店の手伝いじゃ……」


「給湯器が壊れちゃって、今日は急遽お店が休みになったのよ。それでシオリの顔でも見ようかと来たんだけど。まさか姉様がシオリにお───」


「あー!!!!ストップ!それ以上は言わないで!!!」


なにやらバタバタと慌ただしい。ソフィアがあんなに慌てるって珍しいな。


「わかったわよ。で、シェイドも一緒にプレイに付き合っていたのかしら?」


「私はあくまで補助だ。シオリが体を酷使して動けないのでな」


「へぇ~……」


ミュウの声色から、彼女がよからぬ笑みを浮かべているのが容易に想像できた。


「ミュウ、今笑っただろ」


「あら、目隠ししててよくわかるわね」


「そりゃ、流石にこれだけ一緒にいたらな」


その時、急に左耳に柔らかいなにかが触れる。


「うおっ!?」


「ふふ、可愛い反応ね。目隠しシオリにスクール水着の姉様。私も混ざっていいかしら?」


ミュウが入ると、よからぬ方向に行きそうなのだが。


「もう終わるだろ?あまり広い場所でもないしソフィアとシェイドだけで大丈夫だよ」


その時、ぐにーっとほっぺたを引っ張られる。


「混ざってい い か し ら」


「いたいいたいいたい!!」


真っ暗な中に痛みだけ唐突に起きるのはなかなかに恐怖だ。


「ミュウ!!そんなに引っ張ってはダメ」


「私が代わろう、それならいいだろう」


「良くないよ。ミュウいたら絶対変なことになるから」


「そんなことを言うのはどの口かしら。そこまで言うのなら、お望み通りしてあげようじゃない」


ミュウは、僕のおなかに手を当てて軽くさする。ボディソープまみれなのだろう。ヌルヌルした両手でなでられると変な気持ちになる。


「ミュウ、やめて、、」


「ふふふ、面白いわね、これ」


「ミ、ミュウ。あまりシオリで遊んじゃ可哀想」


「でも姉様、結構これ楽しいわよ」


「えっ」


「サキュバスの血が疼いてきたわ」


「疼かなくていいから。もう解放してくれ」


◆◆◆◆◆


「あ~…ひどい目にあった……」


湯船に浸かりながら、僕はぐったりとしていた。補助役でソフィアが一緒に入ってくれている。湯船の外には不満そうな顔をしたミュウがこちらを見ていた。


「せっかく楽しかったのに」


不満顔のミュウ。


「ゆっくりしたいんだよ僕は……」


「すみません、シオリ。止められなくて」


「いや、ソフィアのせいじゃないから」


「でも、姉様も興味津々に見てたわよ」


「ミュウ!!見てません、私は見てませんから!!」


「…まぁいいや。お風呂上がったら僕は寝るとするよ。疲れて今日は何も出来ないや」


「あら、そう。なら仕方ないわね」


意外と素直に聞き分けるミュウ。これ以上何かされるのはたまったもんじゃないので、深く追及するようなことはしない。触らぬ神に(悪魔でもあるが)なんとやらだ。


この後、無事に一日が終わることなどなかったのだが、それはまた別のお話。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る