第4話 広がれ噂
俺が投影の魔眼でスポンサーを集めていると、ある噂がインターネット状に広がり始めた。
それは何者かの超能力である男性が九龍寺医院の看護師に虐待されている映像が見せられると。
その映像の終わりには盾剣組織をよろしくお願いしますと、顔の映らない男性がお辞儀をするのだ。
最初は何かしらのホラーではないかとインターネットによって噂が流されていた。
スポンサーの共通点は虐待を許さない人や、悪を許さない人々だった。
彼らとて夢や映像を見せられたくらいで動くわけにはいかないのだ。
そういう事がインターネットに書かれているのを俺はうきうきしながら見ていた。
現在俺が住んでいるアパートには音山奏と中桃勝が住んでいる。
本当に狭い居住区だが、いつかは引っ越そうと思っている。
それも秘密基地みたいな物を作りたいと思っていた。
そして今日は願ってもない日だ。
そう九龍寺病院へ襲撃に向かうのだ。
現在は真昼間、作戦は結構された。
俺と中桃が先導をきった。カナデは通院に来ている患者達ににこにこしながら話しかけるというものだった。
中桃はドキドキしているのか目がうつろでもあった。
俺はにこやかなほほ笑みを浮かべながら受付の人に声をかけた。
「予約表などをお持ちでしょうか」
「ああ、これね結構昔のだけど」
「少々お待ちください、えーとこれは数年前ですね、期限が切れてます。予約を再発行しますか、それだと別な日になりますが」
「いえ結構ですよ」
そう言いながら、俺は軽く事故を装って受付嬢の右手を触った。
心の中で憎しみが花開いた。
そこには俺というモンスターしかいなかった。
そのモンスターには神の力が宿ってある。
それは神を喰らったのだから。
「受付嬢の人、生贄力創造を知ってますか」
「どうしたんですか?」
次の瞬間異変が生じる。
受付嬢の右手が突然爆散したのだ。
辺りに血がべっとりと張り付く。
受付嬢の悲鳴が辺りを支配した。
他の受付の人達が何事かとこちらにやってくる。
俺は何食わぬ顔で圧倒的な力を手に入れていた。
【神モード:30分】が発動された。
俺は30分間神になる事が出来る。
そこには沢山の制約がついている。
「お、おまえ、受付の人に何をした」
他の受付が血しぶきを浴びても平気な顔をしている2名がおかしいと思ったようだ。
「いえ、そこの人の右手が爆発しまして」
「わ、わたし、見ました。あの人、受付の人に触れて、次の瞬間、受付の人の右手が爆発しました」
「おや? それこそ精神的に問題のある発言ではないですか?」
「え、あ」
俺は知っている、こいつらはありえない事を言う奴らを精神異常者にしたてる。
俺が幽霊を見たことをおかしいとお前らはいつもののしってくれたな。
「とにかく、動くな、救急車を、よべ」
どうやら男性の受付の人はリーダー格らしく、次から次へとテキパキと指示を出す。
次に起きた事は、この病院は昔から続いており、とても大きな病院だ。
なので通院に来る患者も多いし、院内を散歩している患者も多い。
もちろん閉鎖病棟だが、信頼のされた患者は院内散歩を許されるのだ。
そんな彼らが同時に受付のカウンターにやってくる。
彼等の目はうつろでただ叫ぶのだ。
「神様が参られた」
「ああ、神様だ。神様だ」
「あなたたちはくずです。神様がつぶしてくれます」
「ああ、神様だ。神様あ」
それを30名近くの人々が叫びながら、受付カウンターに乱入していくのだ。
まさにあっという間で緊急事態ボタンを押す暇すらなかったようだ。
「うぉ、やめろ、どうしたんですか、あなたたちは」
「あああ、右手が痛いいい」
先ほどの受付嬢の右手がぐちゃぐちゃになったままだ。
俺はにやりと笑って。
「さぁ、皆さん、盾と剣の組織の初出だ、盛大に暴れようぜ」
30名の患者または通院者たちはカナデの能力【マインドボイス】によって操られている。
代償として片耳が1時間聞こえなくなっている。30回も使用したのだから、30時間くらいだろう。
「うへぇ、なんか片耳が聞こえないの違和感があるよぉ」
「すまないな、問題はエレベーターのカギだが」
俺はリーダー格の男性の元にやってくる。
顔はほっそりとしている。背丈はとても高い、髪の毛を変えていたが。俺が入院しているときにさんざん虐待してきたメンバーの一人だ。
「お、高橋さんじゃないですか、元気でした?」
俺はにこやかにささやきかける。
高橋と呼ばれた男性はカナデに操られた大勢の人々に拘束されていた。
「お、お前、紫龍なのか」
「そうですよ、その紫龍ですよ」
「それにしても見た目が変わったな、やせ歩そろえて、クマがすごいし、猫背だし、頭ぼうぼうだし」
「まぁいいや、あんたには生贄になってもらおう」
「は? 意味が分からないし、そんなこと言ってると院長命令で入院させられるぞ」
「安心しろ、今日でこの病院は崩壊する」
「バカじゃねーのいいからこいつらを説得してくれよ」
俺は右手で高橋の右腕左腕右足左足を触れた。
「さぁ、神の贄になるがよい」
次の瞬間、4か所の体の部位が膨らんでいった。
高橋は意味の分からない表情で悲鳴を上げ、次の瞬間両腕両足は吹き飛んだ。
ぐちゃぐちゃになりながら、彼は2度の自分の両足と両腕を使う事は出来ないのだ。
まるで植木鉢のようであった。
植木のように永遠と立ち続けなくてはいけない、その植木には枝や根がないのだから。
「あぎゃああああああ」
高橋の断末魔が広がる。
俺は高橋のポケットから鍵束を取り出すと。
後ろを振り返った。
「いくぞ」
その時カナデと中桃はこちらを尊敬する瞳で見つめていた。
今日から俺は神として正義を下す為に悪を暴き続けるのだ。
「おっと凍らせておこう、死んでもらうのはかわいそうだからなぁ」
俺は神の力を使って凍らせた。
どうやら今回の生贄で得た神の時間は1時間で、残り1時間15分となっていた。
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