遅れてきたおっさん
バブみ道日丿宮組
お題:遅いおっさん 制限時間:15分
遅れてきたおっさん
待ち合わせという言い方はあまりよろしくない。
これはどちらかといえば、呼び出しであって何分も早くくることが要求される状態だ。
早朝ということもあって、駅内にいる人は少ない。何人かは始発待ちで、何人かはお店の始業作業だろう。
「……むむむ」
口に声が籠もる。
既に約束の時間から2時間も経過してる。
駅地下に4時からいることにもなる。
なんども警察に事情聴取を受けた。
年齢はいくつだか、学校はどこの学校だか、身分証はもってるだろうか、危ない持ち物を持っていないだろうか。
疑いの声は何度も繰り返し聞かされた。
担当エリアが異なってるから連携が取れてないのか、『さっきいいましたよ』と確認をとるものならば、『あそこの警察とは別対応でね。もう一回やってもらえないかな』という感じ。
だんだんといらいらして警察を無視してると、同行だとか、事情聴取義務があるだか、権利があるだかで身体を触り始めた。
さすがにセクハラだと睨みつけると、警官はなにか問題があるのかとポーチを奪い取り中身を確認される。
そこにあるのは女性ならもので、男性がいれてるようなものはない。あとは……男性に見せたくないようものも中に入ってた。
「ーーおぅ、どうした? なにか事件か」
聞き慣れた声がして、振り向けばグラサンをかけた坊主の知り合いが近づいてきた。
「なになにお兄さんたち、このこにナンパかけてるの?」
「い、いえ……事情聴取です」
「ふーん、それにしてはボディタッチしてるじゃない? それって職権乱用っていうんじゃないのかい?」
「い、いえ……それでは問題なしということで今回は終わりです」
あっかんべぇと、相手をいなくなるまで睨みつけ、
「遅刻だよ、遅刻! そのせいでめんどくさいことになった!」
「悪いな。麻雀がいいところでな。おかげがっぽり稼げた」
「ちなみに大体どれくらいなの?」
「軽く1000万だな。家賃にしばらく困らないだろう」
坊主のおっさんは満足そうに肩を叩いてくる。
「そうね。生活の足しにはなると思うけれど、もうちょっと真面目な仕事をしてほしいの」
「わかってる。今試験中なんだ。それが通れば……あるいはってやつだな」
たくさんの仕事先に応募してるのはしってる。
そして3LDKもする部屋の家賃を払ってくれてもいる。
文句をいう筋合いはないのかもしれないけど、私にとって彼はそういった特別な存在。
「さぁ、警備事業はじめますかね」
「今日は大手のエレベーター回収だよ」
遅れてきたおっさん バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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