年賀状

バブみ道日丿宮組

お題:遅い年賀状 制限時間:15分

年賀状

 夏休みに入った頃、一枚のハガキが届いた。

「……年賀状?」

 内容は『あけましておめでとう』という季節違い。

 差出人は、聞いたことがない名前だった。住所だって知らない土地。むしろ、エアーメールだから海外から送られてきたものだ。

 海外……詳しいことはわからないが、飛行機2、3時間の距離の場所だ。

 つまり、時差がそれほどない。お正月がずれてるということはない。

 それに正月が他の国からずれてるというわけでもない。夏のサンタクロースのように、夏の正月はない。

「……うーん」

 どうしようかなとぺろぺらと年賀はがきで仰ぐ。

 年賀状をもらったのであれば、返信するのが一般的だ。唯一返さないのはお店からの年賀。おとくなクーポン付きとかそんなのだ。

 それで……この年賀状は、知らないお店でもなく、個人。つまり、誰か走らないが、私を知ってる誰かが送ったものだ。

 情報が足りないと、スマホで国名を検索してみる。

「……」

 いくつかの候補がでてきたが、正確な国はでてこなかった。

 切手に押されてるのはアメリカの判子。ならば、ここはアメリカのどこかの1つということになるのだろうか? 知らない場所であっても有名なところとか?

 もしそうなら、すぐにネットでわかるはずだ。

 じゃぁ人づてができるのかと、知人にSNSでコンタクトをとってみる。

 数分後返ってきたメッセージはどれも知らないという言葉が言い方が違うだけで返ってきた。

「だよねぇ」

 電話番号が乗ってれば、電話したかもしれない。

 国際電話はあまりよろしくないが、わからないという苦悩に勝るものはない。


 結局私は、新しい年賀状を作り、返答してみるのだった。


 その後書いておいたメールアドレスにEメールが返ってきた。それで昔国籍を捨てた友人だというのがわかった。

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年賀状 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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