小説家の日々
バブみ道日丿宮組
お題:小説家の境界 制限時間:15分
小説家の日々
文字をたらたらと打ち込む作業と、英数字を羅列してく作業に違いはない。
前者が言葉を理解できるかもしれない、後者が一部の人が理解してくれるかもしれない。
さらにこの中から理解してくれるかもしれない人間が生まれるのが小説だ。
誰にだって読みやすい本なんてものは存在しない。絵本はそれに該当するかもしれないが、小説ともなるとそこはライターの好みがぎっしりと書かれた本になる。
そこにあるのは脳内ロジックだったり、普段読んでる本に影響されてたりと、いろいろなパターンがある。
つまりはあの人の本を読んだんだろうなぁという境界線が張り巡らせられてる。
そこに気づく、驚くかは、読者に任せるとしよう。
私は書くことしかできない。
他の取り柄がなにかあれば、そっちでのばしたかもしれないが現状できる技術は限られた時間内に作品を収める、ただそれだ。
ちなみに英数字のはいわゆるプログラム言語のことで、さらさら書く人はウィザードと呼ばれるらしいね。小説は小説家なのに、とても不思議。
「これでいっかなぁ」
また一冊の小説が完成した。
最初の読者は妹だ。
直通で繋がってる=ベルのボタンを押すと、3コールぐらいして、
「兄様、新しいのできましたか!?」
モニターに彼女の姿が映る。
服装は絵巻で数分まで眠ってたことが簡単に想像できる。相変わらず寝起きはいいようだ。
「いますぐ行きますからね!」
声が聞こえたと思ったら、すぐに僕の部屋の扉を開ける音が耳に入る。
「何度でも言うけどさ小説はデータだから、共有したフォルダからファイルを選べば手持ちのタブレットで見れるよ」
「生データから作られたファイルを変換するのを見るのが好きなんです」
変わった好みだ。
なんにしても、興奮状態の妹は少し怖い。
一呼吸入れてから、彼女が読めるようにファイルの形式を変えてく。いわゆるPDF形式だ。彼女はこれを読んで、感想、推敲をしてくれる。
あとおまけに宣伝までもしてくれてる。
地元のアイドルだから、その宣伝力は大したもので、ほとんどの本屋で毎回売り切れる。これはとても怖いことで、悪い評価ばかりがつくんじゃないかと思ったが、意外に意外。
評価は毎度いいものがもらえてる。悪評はもちろんないわけじゃないよ。
「共有フォルダに入れたから、いつでも見れるよ」
「明後日までに読んで、チェックするね」
「うん、助かるよ」
一仕事終えたとベッドに寝転ぶと妹も転んできた。
「朝まで一緒に寝よう?」
しょうがないなと僕は妹を抱きしめた。
小説家の日々 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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