びしょ濡れな顔も見せられない


「おい、どうした?」


 降り頻る雨の中。彼の持つ傘の下で、私は俯いている。


「何か……あったのか?」


 私の着ている制服はずぶ濡れで、髪からは雫が滴り落ちている。


「その……」


 いつも意地悪な彼が心配してくれている。すごく嬉しい。


 でも、言えない。


 ただ傘を忘れて夕立に巻き込まれただけなんて。

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