仲間意識


「退屈だ……」


 ポツリと漏れた呟きは、消毒液臭い空気に溶けていく。その空気を隔てるようにしてある窓の外には、朗らかな笑い声。


「楽しそうだよね」


 すぐ隣で、聞き慣れつつも話し慣れない声が響いた。


 ケガと病気。


 体育祭に出れない者同士。


 教室では交わらないのに、ここでは変に気が合っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る