読書仲間


 僕は、人付き合いが苦手だ。

 相手の気持ちを推し量り、話を合わせる。そんなことに時間を費やすくらいなら、物語の世界に浸っていたい。


「じゃあ、私は?」


 静かな図書室に、明るい声が小さく響く。


「物語の……延長?」


「え〜」


 本人には言わないが、短く笑うその表情は、物語と同じくらい魅力的だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る