溢れる思い出と、右手の感触


「久しぶりに秘密基地行こう!」


 幼馴染は家に来るなりそんな提案をしてきた。


「この暑いのに……」


「ほら早く!」


 返事を待たずに腕を引っ張られる。相変わらずの強引さに呆れつつ、幼い頃の思い出の地へ。

 何もないその場所にふとした寂しさが込み上げる。


 でも。


 隣の彼女は、とても嬉しそうだった。

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