一緒に弾いて、一緒に目指した、君の音


「ピアノ……やめちゃうの?」


 彼女の瞳が寂しげに揺れる。


「うん。受験とか部活とかあるし」


「なんで……ピアノ?」


「……」


「自分さえ諦めればいいから。周りを説得しなくていいから」


 ビクッと肩が跳ねた。図星だった。


「そんな理由で……やめないでよっ!」


 一回り小さな手が、悔しそうに震えていた。

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