⑥
「どうしよう。ねえ、私、とんでもないことしたかもしれない」
玲奈はすっかり怯えきっている。
それも仕方ないことだろうと思いながら、大悟は後ろを振り返る。
そこには古びた扉がある。扉は開かれており、木でできた戸がギーギー音をたてながら揺れている。その向こう側には暗闇が広がったいる。
「私……私たちはとんでもないものを見てしまったかもしれない。だから、みんな……」
玲奈は大悟をまっすぐにみた。
顔面蒼白でいまにも崩れ落ちそうだ。
「大丈夫だよ。大丈夫。きっと、大丈夫」
大悟は思わず、彼女を抱き締めて落ち着かせようと背中を擦る。
だけど、彼女の震えはとまらない。
いや、彼女だけだはない。
大悟もまた内心恐怖に刈られているのだ。
見てしまった。
そして、見捨ててしまった。
大悟の視線の向こう側の暗闇から声が聞こえてくる。
タスケテ
タスケテ
その声は大悟がずっと聞いていた友人の声だった。
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