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天空橋ひつじ

本編

第1話

 私の人生はあっけなく幕を閉じた。


 原因は不明。いつものように会社から帰ってきてシャワーを浴びていたところ、意識が暗転。


 再び目を冷ましたときは私は幼児になっていた。


 なんでだ?


 下條翡翠〈しもじょうひすい〉。3歳のぷりちーなガールだ。今は原因不明の記憶障害を患っていて、会社員をしていた26歳の自分と3歳児まで過ごしていた記憶が混在している。


 不思議な体験に幼いながら興奮している自分と、これはやべーと冷静に見つめている自分がいる。どっちも自分なのだからややこしい。


 会社員の自分は普通の人生を送って、人生に起伏もないまま幕を閉じた。最後の記憶、というのがいまいちもやにかかっていて思い出せないが、どうせ死因も平凡なものだろうという、冷めた自分がいる。


 だが、これはいわゆる逆行転生というものだろうか?


 私は前世と変わらない両親、住んでいる街の名前、近所の友だちの名前からそう判断した。


 でも、なんのために?


 言っては何だが私は平凡な人間だ。

 一生をやり直すとしても、どうせ同じような日々を送るだろう。自分に存在する今までの経験で、そう思った。


 勉強をしても、平凡な成績。体育だって真ん中。なら芸術関係はというと、なにをやっても普通と称されるものだった。


 だから私は親のアドバイスもあって普通の大学を卒業して、普通の会社に入って普通の賃金を得て生活していた。そんな私の唯一の楽しみといえば、月に一回くらい贅沢に外食をすることくらいだった。


 なんで、私が。


 そんな思いが強かった。


 もしかしたら死んだ人たちは二週目の人生を送っていたのだろうか。それなら頭の良かったあの娘とか、何かと要領の良かったあの娘とか、もしかしたら二回目の人生を歩んでいたのかも知れない。


 うまくやっていけるのだろうか?という疑問が頭をもたげた。

 だって私は平凡だ。


 これから人生をやり直すって言っても困惑するばかりだ。


 だから私は賭けをしてみることにした。


 作戦名は、お金持ちになろう!作戦だ。我ながら頭悪そう。


 転生した私の強みはなんだろうか。そう、未来を知っていることだ。平凡ながらテレビも見ていたし、新聞だってちょこっと読んでいた。これから急成長する企業なんかは頭に入っている。


 これしかない、と私は思った。宝くじやロト、競馬なんかの賭け事はやったことないし、確実にお金を稼ぐなら株を買うのが一番だ!と思った。


 問題はどうやって株を買うか、だ。私はない頭を捻って考えた。自分のお小遣いじゃ、株なんて買えない。なら両親に買ってもらうしか無い。


 だが、私は3歳児。当然ながら、これから急成長する株なんて言い当てても偶然で終わるだろう。常識人の両親からはマトモに取り扱ってもらえないことだろう。


 しかし、幸いというべきか、両親は機械音痴だ。それでもって、大切なものの保管場所なんかも私は知っていた。ちょろっと騙して、勝手に株を買ってみるなんて、どうだろうか。


 当然ながら悪いことだ。うまくいくかもわからない。

 前世ではこういったこと悪さもしたことなかったので、とてもドキドキしている。


 いや、結果的にお金が儲かるのだから悪さではないのか?


 そう、自分を騙して作戦を決行した。


―――


 数年後のこと。私達の家はかつて無い好景気に浮いていた。


 悪事をはたらいたことは当然バレて、一日中説教された。

 だが、バレたときにはもう、口座の数字が何桁か変わっている頃だった。


 庶民派だった両親は、家を買った。小さな庭付きの立派な一軒家だ。

 それだけ買って、あとは貯金すると言った。


 私が資産運用すればもっと増えるのに、と思ったが、悪さをした手前、何かをいうことは出来なかった。


 その代わり、私はパソコンを買ってもらった。これは計画の一貫でもあったので通過点だったのだが、株でひとしきり儲けた後は両親は私になんでも買い与えてくれるようになった。


 いろんな習い事をさせてくれたのもその一環だ。


 そこで気づいた。なんか、私おかしくなってない?


 勉強をすれば東大の勉強をさせられ、ピアノをすればコンクールで優勝し、絵をかけば美術館に展示される。


 いやいや流石におかしいでしょ、と思ったが、両親はこの結果に大喜び。本当にいろいろな習い事をさせられ、なんでも出来るようになった。


 あれぇ?


 この何年かで変わったことがある。大きく変わったことといえば、引っ越しをしたことで学校が変わったことだろうか。いわゆるお受験というのもさせられて、エスカレーター式のお嬢様学校に入ることになった。

 

 あと、前世にはなかったことなのだが、妹ができるようだった。気づいたときにはお母さんのお腹が膨れていて、ああ、子供が出来るのだなあと他人事に思ってしまったほど驚いた。

 だが、同時にそれもそうかと納得する私がいた。前世では計画を立てて子作りをしていたのだろう。だから私は一人っ子だったし、お金に余裕のある今現在では二人目をつくる余裕もあった。


 そう思うと、なんだか我が娘のように子供が生まれてくるのが楽しみになったのだった。

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