クラスのひとつ

バブみ道日丿宮組

お題:大人の悪魔 制限時間:15分

クラスのひとつ

「またあいつか……」

 教室につくとざわつきが目立った。

 話しかける友人もいない自分は自席につくと、耳を澄ませた。

『校長像にカツラが』『掲示板に666の刻印が』『課題に出されるはずの答案用紙が机に』『イケメンがホモ』『ブスが才女』『あの二人教室でやってた』

 噂から真実までがざわざわと聞こえてくる。

 今回のは大したことがある内容がほとんどだ。その1つである答案用紙は自分の席にも入ってた。

「……おはよ」

「おはよう」

 ざわつかせた要因がやってきた。

 満面の笑みとはいわないが、笑いをこらえてるのはよくわかった。

「またやってくれたな」

「なんのこと?」

「この騒ぎのことだよ」

 なるほどと、彼女は頷く。

「教師と寝たかいがあったものだ」

「それは本当のことなの?」

 本当のことなら事件にまでなるだろう。いわゆる、教師と生徒のあれで。

「本当だったらびっくりする?」

「びっくりはしないかな。やり方として1つの答えではあるだろうし」

 自分はやりたいとも思わないが……。

「セキュリティが甘いんだよね」

「セキュリティね」

 監視カメラもないし、警備員もいないという私の学校。

「見れるものは見れるし、取れるものは取れる。そんな状況で情報なんてものはいくらでもでてくる」

 今まで出てきたものは全てそういったものなのだろう。

「やりすぎるとそのセキュリティも強化されるんじゃないか?」

「それはありえないかな。セキュリティの甘さは個人までに及ぶし」

「なんだ教師の情報もあるのか」

 然りと彼女は笑う。

「やろうと思っても穴を教えてもらえるし、穴を作ってもらうこともできる」

 そうすれば、

「淫らな行為があった場合でも録音録画できるし、テストの答案用紙、個人の噂ごとなんでも手に入る」

 怖いものだ。

 自分の情報が漏れることになれば、教師と同じように脅されるかもしれない。

「なに怖そうな顔をしてるんだい? 君にはそんなことはしないさ」

「信じられないよ」

 ふふんと笑った彼女は一枚のコピー紙を手渡してくる。

「こ、これって……」

 それは入学してからの……私の身体測定の結果。

「蕾はいつか花開くものさ」

 背筋が寒くなるのをその時感じた。

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クラスのひとつ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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