セレモニー。
市民の人たちには待ちに待った、自分的には人前に出るのはこっ恥ずかしいので早く終わって欲しいセレモニーが始まり、
パンゲアのリヒトさんと、イチゴさんが艦長として金色をした星型の勲章を受け取り、アイやパンゲアのエース達、そして俺が戦功章の勲章をそれぞれ受け取る、同じ勲章なのにパンゲアの一部のエースと形が違うのは、二回目からは形が変わるかららしい。
リヒトさんとイチゴさんのスピーチが終わり、パレードも行われる。
正直一番怖かったのは、このパレードを狙ったテロだったんだけど、かなりの量の警察と軍人が見張る中で行われ、特にテロ事件は行われなかった。
「あー、もう疲れたわ!」
アイが用意された控室のテントに座りため息をつく。
「あはは、ほんとだよね~」
「ま、式典とかやれば市長とか州長の株が上がるからな」
ベッグさんが慣れた様子で用意された水を飲みながら、渡された冊子をみて今後の予定を確認している。
「それに、こういうのしとけば戦争賛成派に世論も動きやすいのよ」
アメリアさんも慣れてるようで椅子に座ってスマホを操作し始める。
「わかるよ~、戦争続けるから私達もさ~、仕事あるわけだし」
「その辺にジレンマもありますけどね、戦争がなくなれば稼ぎが減りますから」
リヒトさんも苦笑いしながら次の予定の確認を始めている。
「でもそもそも戦果を上げなきゃ不要論出るわけでしょ~」
「そうなんですよ、それがもう難しくて」
イチゴさんとリヒトさんのこの話題って結構外部に漏れたら危ない話だよな、と思いながらもここは合同の個室なんで大丈夫だろう、中にはパンゲアとオモイカネの人間しか居ないし。
「ダメですよー二人共ー、ハーイ、盗聴器でーす!」
と、思ってたらアニーさんが机のしたからボタンぐらいのサイズのマイクを見つけて握りつぶした、前言撤回、全然大丈夫じゃないわここ。
「今の会話セーフだった…?」
「…ここまでならセーフですよ」
うん、だから戦争をギリギリまで維持しつつ稼ぎ続けようとかまで言ってないから大丈夫だと思う、すっごく言いそうな雰囲気だったけど。
それから、皆黙ってしまう、下手なことを言えなくなったからだ。
「…これって、どこまでアウトなん? 話題として」
黙ってられなくなったのはアイだ、アイは元々あまり黙ってられない性分だから、この中で一番危ないとは思う。
「もしもの話だけど、誰と誰が付き合ってるとかいうのがあると、数日後ぐらいして今日のネタ弱いなって時に一面になってるよ」
「いやや~」
アイが叫びながら机にへばりついた、本当に嫌なんだろう。
「結構長いよね、この待ち時間」
「19時のパーティーまでよね、これ」
今度はイチゴさんとアメリアさんが会話し始める、結構珍しい組み合わせに感じるけど、実は裏では結構仲が良くて、SNSでやり取りもしてるらしい。
「まさかだけどさ~、この時間長いの盗聴前提でぽろり狙ってたりしない?」
「いやいやいや、どんだけ信用ないのよ」
「だってほら、ここ協賛のとこ結構ゴシップ系のメディア多いよ」
「いやいやいや、そんな事、ありそうね」
「…よし、ここは敢えて特ダネを放出してだよ?」
そう言いながらイチゴさんが俺とアイを交互に見る「辞めてくださいよ?」というとゴシップネタがあると認めることになるので声に出せない、くそ、こういう時にクガさんが居てくれればと思う、無理矢理にでもあの時言いくるめとくんだった。
「辞めときなって、愛想つかされるよ」
「えっ、やだ~!」
ナイスアメリアさん、いい調子だ。
「でも大丈夫だって、盗聴器なんてそう何個もないから」
「ま、そうよね」
二人して笑い合ってるけどコッチの信条としては気が気じゃないんだけど。
「ハーイみんなー! 盗聴器6つ目デース!」
多いな!? と思ってみたら本当に盗聴器をあれから5つも見つけて水の入ったコップの中に入れて水没させている、もはや盗聴器探しを楽しんでるな?
「ダメみたいよイチゴ」
「そうだね、アメリアわたし黙っとく」
「ソレがいいわよ、ほんとに」
これでホッ一息、安心できるようになったなと胸を撫で下ろす、アイもよく黙っててくれて助かったと思ってみたら、寝てた。
夜のパーティーになり、色々な政府のお偉方と挨拶させられ、挨拶すると、また挨拶、挨拶だらけで立食パーティーと言いながら立食出来る気配がなく、ようやくパーティーも終わる頃になってテラスまで逃げ出す。
物語ならここで綺麗なドレスを着たアイが…という流れなんだろうけど、アイは向こうでまだ掴まっていて挨拶地獄から抜け出せていない、そもそもアイのドレスは一日中見てたわけだし。それにしてもこういう時は、男性のスーツ姿という他の人と変わらない衣装を着れるから紛れやすくて助かるな、と始めてスーツに感謝する。
「スーノーウー」
パーティーが終わりクタクタになったアイがやってくる、恨めしそうな顔をしてるが盗聴までしてるパパラッチがいるので抱きしめてやるわけにいかず、代わりに背中を撫でる、どうやら無理矢理にお酒も飲まされていたようだ。
イチゴさんがタクシーを呼び、タクシーに三人で乗り込みようやく帰路につく。
「…疲れた」
「うちもや~」
二人でタクシーでぐったりとする、こういうのはもう二度とゴメンだ。
「あはは、お疲れ様二人共」
「よくイチゴさんは平気ですね」
「私はね~、一応慣れてるからああいう場所」
「そうなんですね」
イチゴさんが慣れたように、自分も慣れることはあるのだろうか。
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