最終章 《改造ドゴンVSブラックゴーレム》
「ドゴゴゴゴッ!!」
「ゴアッ!?」
頭突きを繰り出した後、先手を取ったのはドゴンだった。ドゴンは以前よりも素早い動きでブラックゴーレムを殴りつけ、格段に速度が増していた。ブラックゴーレムは反撃する暇もなく、何度も殴りつけられる。
「おおっ!!押してますよ!!」
「ふふふ……今のドゴンはただの人造ゴーレムじゃない、改造を加えた新生ドゴンだ!!」
「な、何だか前よりも痩せた?」
ドゴンは以前よりも全体的に細くなっており、重量が軽くなっていた。そのお陰でゴーレム種の弱点である「鈍重」がなくなり、素早い動作で相手に攻撃を仕掛ける事ができた。
今現在のドゴンは速度を重視して余分な物を削ぎ落し、攻撃速度を上げてブラックゴーレムに追い詰める。この時にブラックゴーレムを殴りつける両拳の方も改造が咥えられ、両手は「鉄槌」のように変化していた。
「ドゴォンッ!!」
「ゴアッ!?」
「な、何だい……あの両手、前のと違うのかい?」
「そう、両手を鉄槌の形に変化した事で打撃力が増しているんだ。あれほどの速度で鉄槌を繰り出されたら例えゴーレムキングだろうと破壊できる(はず)!!」
「す、凄いですね……」
「ドゴンちゃん!!頑張れ〜!!」
アルトの言葉を聞いてヒナは冷や汗を流し、モモはドゴンの応援を行う。声援に応えるように改造を加えられたドゴンは両手の鉄槌でブラックゴーレムの顔面を殴りつける。
「ドゴンッ!!ドゴンッ!!」
「ウオッ!?ゴアッ……!?」
「嫌がってるよ!!どうやら効いているようだね!!」
「そのまま行くんだドゴン!!君が最強のゴーレムだと証明するんだ!!」
「う〜ん……そんなに上手くいきますかね」
ドゴンは一方的にブラックゴーレムを殴りつけ、反撃の隙も与えない。この調子ならばブラックゴーレムを破壊するのも時間の問題だと思われたが、徐々にブラックゴーレムの身体が赤色に変色を始める。
「オオオオッ……!!」
「ドゴンッ!?」
「発熱してますよ!!何だかやばい感じです!!」
「やはりそう来たか……だが、ドゴンには通じない!!ドゴン、あれを使うんだ!!」
ブラックゴーレムの肉体に火属性の魔力が宿り始めた瞬間、それを予測していたかのようにアルトは指を鳴らす。ドゴンはアルトの指示に従って胸元の部分に手を伸ばすと、ドゴンの胸元の部分が割れて凄まじい冷気が放出された。
「ドゴォンッ!!」
「ゴアッ!?」
「な、何だいあれは!?」
「ふっふっふっ……あれこそが僕のドゴンの最終兵器!!大量の水属性の魔石を搭載して作り出した噴射機ならぬ冷射機さ!!」
「冷射機!?」
ドゴンの胸元は元々は開閉式であり、そこにアルトは自分で造り出した魔道具を隠しておいた。彼が作り出したのは飛行船を飛ばすのに利用される「噴射機」を参考にして作り出した新型の魔道具だった。
冷射機と名付けた魔道具は大量の水属性の魔石を搭載し、それを利用して冷気を作り出す。この冷気によってブラックゴーレムが発熱した瞬間、ドゴンは冷気を送り込んで熱を下げる。
「ウオオッ……!?」
「今だ!!敵は固まって硬度も下がったはずだ!!攻撃するなら今しかない!!」
「ドゴンッ!!」
ブラックゴーレムは冷気を浴びた事で身体の発熱が収まり、しかも凍結化した途端にドゴンは攻撃を再開した。大抵の物質は凍らせると硬度が下がるため、それを利用してドゴンはブラックゴーレムを追い込む。
前回の戦闘でアルトはブラックゴーレムの性質を理解し、それに対応できるようにドゴンに改造を施した。そして改造を加えたドゴンはブラックゴーレムの能力を封じ、一方的に殴りつける。
「ドゴォンッ!!」
「ゴアアッ!?」
「よし、決まった!!」
「行けぇっ!!倒せっ!!」
「あと少しだ!!頑張れ!!」
ドゴンの繰り出した拳がブラックゴーレムの顔面を捉え、相手は大きく仰け反る。その隙を逃さずにドゴンは追撃を加えようとしたが、ここでブラックゴーレムの顔面に異変が発生した。
「オアアアッ!!」
「ドゴンッ!?」
仰け反った状態からブラックゴーレムは体勢を立て直すと、ドゴンに組み付く。これによってドゴンは胸元を抑え込まれて冷射機を解放する事ができず、必死に逃れようとするが純粋な腕力はブラックゴーレムが上なのか引き剥がせない。
「ウオオオオオッ!!」
「ドゴォッ……!?」
「まずい、力負けしています!!やっぱり移動速度を重視し過ぎて腕力が弱まったせいです!!」
「し、しまった!!ドゴン、離れるんだ!!」
「おいおい、大丈夫なのかい!?」
「助けに向かうぞ!!」
力尽くで抑えつけられたドゴンを見て他の者たちも救出に向かおうとしたが、時は既に遅く、ブラックゴーレムは全身を発熱させて徐々に肉体が赤色に変色を始めていた。
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