第234話 囲いを出す

 67階層、魚エリア。

 かつての陛下もここで苦戦し、何とか70階層のボス部屋を攻略したものの、その後撤退を余儀なくされたとか。

 何度かチャレンジしたようだけど、結局この魚エリアに手こずり、70層どまりだったとか。

 あれ?


 70層をクリアしたのだったら70層からまたチャレンジできるのでは?

 そう思ったんだけど少し違うようで、一度ダンジョンを出ると一つ下にある魔法陣の所に戻るのだとか。

 成程普通は100層を攻略しても再び100層には向かえないんだね、普通は。


 そのせいで何度もチャレンジしてはその都度魚に阻まれたんだとか。

 そしてそれも陛下が国王へ・・・・当時は王太子らしかったようだけど、流石に国王ともなればおいそれとダンジョンには向かえないよね、表立っては。


 だからなのか陛下は身体が鈍ったとかで身体慣らしを、とか言ってるのかな?

 宰相閣下ですら、

「いやあお恥ずかしい。すっかり勘が鈍ってしまいましたな。それに腹も・・・・」

 まあ立派なお腹だこと、とだけ言っておきましょう。


 で、66層は単に収穫だけなのでスルー。

 まあ瓜系の作物なので、お腹が空けばここへ戻ればなんとかなる訳です。

 67層へ向かう階段付近で固まる遊び人部隊の面々。


 魚エリアは道中、42層でも挑んだのですが、42層はそんなに動きも早くないし、時間も大して掛からず仕留めていたのですが、ここにいる魚は速度と数が違います。


「うわ、どうすんだよこれ・・・・」

「鑑定したけど、あれまともに対処していたら身体に大穴空いちゃうわよ?」


 ここに居る遊び人部隊の多くはレベル7。世間でレベル7は相当強く、それ以上のレベルの人を見つけるのが困難な程。


 その面々が厳しいと言っている。

 そして陛下はレベル10で、レベル10でも苦戦するのだから、その威力たるや・・・・きっと凄いんだよね?実感がないけれど、確かに最初は僕達も苦戦した記憶があります。


 さて、レベリングだけど、実際に見てもらおうかな。

「じゃあ今からレベリングを行います。」


「お、おい一寸待ってくれ!いくらなんでも俺等にあれは、つまり現状の俺等では太刀打ちできない!それをどうやってレベリングするんだ?」


「ご心配なく。かつて僕達が行った方法でやってもらいます。欲張ったり、指示を無視しなければ安全ですよ?」

「この階層で安全ってどういう事?」

「これです。」

 僕は改良された囲いを出します。

「檻ね。」

「なんじゃこの監獄は?」

「この中に入ってもらいます。そして魚の所へ移動してもらいます。」

「え?でもこれって?」


「鉄とミスリルで組んだ僕が自分で作ったレベリング用の囲いですよ。まあ今更ですが名前なんてありませんけどね。色々思う所はあるでしょうが、まずは見て下さい。そして否定的な意見があるようなら、どうぞこれ以上の物を作って下さい。今この場でね。僕はダンジョン内で作成しましたから。若しくはこれより効果のあるアイテムを作ってどうか頑張って下さい。」


「簡単な風に言うなよ。なんで俺達が物を作らないといけないんだ?」

 ・・・・何か勘違いをしている人が多い気がします。

 生産系舐めていませんか?

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