まさかの職業【遊び人】に！ だけど成長したらどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした！

第207話 トゥーニス その７

　遊び人部隊、部隊と聞けば、武力による直接的な行動を起こす組織と思われるかもしれないが、それは組織の担う役割のほんの一部。

　無論遊び人と言ってもそれぞれ得意分野が違う。

　俺は2年の間に見極めをし、それぞれ適任と思われる役割を受け持ってもらった。

　意外だったのがヴィーベとリニだ。

　あつらには商才があった。

　なんだかんだであいつらは人当たりがいい。

　一見するとバカな振る舞いが多いヴィーベ。

　だがあいつと接していると何故か警戒心が薄くなる。

　そしてリニ。

　リニもそうだが、遊び人の女は見た目に恵まれる事が多い。

　そんなリニの見た目に寄ってくる男も多いが、あいつは男のあしらい方が上手い。　

　それにどうやらヴィーベとリニはお互い好きあっているらしい。

　らしいというのはそれとなく俺に相談をしに来るからだ。

　だが俺は直接背を押してはやらん。

　まあ今はいい。

　これから教会の勢力と直接事を構えるにあたり、経済をこちらで把握するために商人ギルドには各都市に遊び人が既に入り込んでいる。

　ヴィーベとリニも職員として上手く入り込んだ。

　こうして国中、全ての商人ギルドに遊び人を潜り込ませる事に成功。

　経済を握った。

　そして冒険者ギルド。

　全ての組織ではないが、どうやら昔から教会との癒着が激しいらしく、幹部は軒並み教会派だ。

　そんな中ここでも幹部候補として遊び人を潜り込ませる。

　元々賢い遊び人。

　あっという間に主要ポストへ収まってくれた。

　だがここでギルドに関しては問題が発生した。

　どうやら教会もこちらの動きに感づいたのか。対策を取ったようだ。

　それはギルドにいる教会派の連中に対し、万が一に備えだんまりを決めさせる事にした様だ。

　万が一負けた場合、後々ギルドを起点に盛り返そうという腹積もりらしい。

　きっとこのままでは負けると判断したのだろう。

　ギルドを巻き込んで徹底抗戦するのか、こちらを油断させて後から・・・・

　俺はもう１つの不安材料に取り掛かった。

　修道院だ。

　そもそも事の発端の一端に、修道院が絡んでいる。

　後から知ったのだが、デルクめがけて突き落とされたのは少女で、修道院出身だったからだ。

　その少女、セシルというらしい。

　何と神聖騎士というジョブを引き当てていたそうだ。

　そして当時その少女を世話していた女性がいる。

　彼女の名はユスティネ。

　約10年前に出会った。

　出会いは最悪だった。

　彼女達は年に一度、各都市を回る巡回を行っており、ユスティネも巡回中。

　俺は用があって都市と都市の間を移動中に、彼女達を乗せた馬車が山賊に襲われていたのを発見した。

　俺は山賊を全て殺した。

　山賊は縛り首だからだ。

　だが俺が到着した時には無事な修道女は一人もいなかった。

　年のいった老女も含め、全員犯されており、特に年のいった女性は冒された後殺されていた。

　ユスティネも残念ながら既に犯されており、当時10代・20代だった娘さん方は、乱暴に犯された為妊娠しにくい身体になってしまったようだ。

　彼女達を保護し、俺は時々彼女と会う事になった。

　不幸中の幸いなのか、この時の蛮行で妊娠した女性はいなかった。

　ユスティネも最初は男を怖がっていたが、時が経つにつれ俺を怖がらなくなった。

　俺は何でこの娘とこんなに会っているのだ。

　気が付いた。

　どうやら俺は一目惚れをしてしまっていたらしい。

　いや、勿論乱暴されている時に彼女の裸を見たからではない。

　彼女の身体は汚されたが、心は決して汚されなかった。

　そんな彼女の内心に俺は惚れた。

　ただ、彼女の姿が俺好みだったのは否定はしない。