第174話 魔素の終息

【魔素が安定いたしました。】


 デルタさんから連絡があったのは、ヴィーベさんが半泣きになりながら、部屋の片付けをしているのをリニさんがよくわからない目をしながら見守りつつ、僕等に帰るように促している、そんな時でした。

「最近調子に乗っていたからね。お灸をすえるのにちょうどよかったわ。しかしデルクってえげつない事するのね。」


「ナンノコトデスカ」

「ふふ!いいのよ!こっちも潤うから。しかし一体どれだけアイテム回収したのよ。」


 部屋中をアイテムで埋め尽くし、最後はヴィーベさんの顔周辺にさっき出したオークがドロップしたアレを・・・・ごめんなさい、少し悪乗りしすぎました・・・・と思っていました、この時は。

そう、この時はつい、軽い気持ちだったんです。

 後でこれがきっかけとなって国中が大騒ぎになるとは思っていませんでした・・・・思わないよね?


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「セシルごめんね、やっと落ち着けるよ。」

「ん。それより返事しなくていいの?」

「あ、そうだね。でも急ぎじゃないからいいんじゃないかな。それよりお腹空いていない?」

「軽い運動ぐらいしかしていないけれど、時間は経った。食べたい。」


 さてどうしよう。食事をするにしても街の中が結構変わっちゃっているので、おいしいお店がわからない。


「別に食べに行かなくても問題ない。」

 僕が悩んでいるのを見てセシルが提案を。

 だからと言ってどこへ行けば?


「・・・・ダンジョン?」

「どこでもいい。では貰ったアイテムのボタンを押せば行けるのか?」

 デルタさんから貰ったアイテム。

 いつでもダンジョン内の拠点に行けるという優れもの。


「そう言えばどうするんだっけ。」

 そうだった、カードに統合されているんだった。

 僕とセシルはカードを手にし、拠点へ向かいました。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 流石に誰もいません。

 今いるのは僕の家?

 セシルが貰ったのもほぼ同じスペースみたいですが、今回は僕の家にしました。


 4人で共有するスペースもありますが、もしレイナウトとロースが先に来ていたら、と思ったので避けました。


 早速セシルが鎧を外します。

 僕は思わず魅入ってしまいます。


 だって仕方がないじゃないですか!

 こんな素敵な女の子が目の前に・・・・まさしく理想の姿。


「デルクも楽な姿になったら?」

 そうだね。そうは言っても僕の鎧って革でできていて、そんなにごてごてしてないから装備を外しても大した事はない?


 でもセシルに言われたら、当然外します。

 その後誰にも邪魔をされずに2人で料理を作り、おいしく頂きました。


「何だか戦ってばかりだったね。」

「仕方ない。愚か者が粗相をしたと聞いた。」

 セシルは物陰で被害に遭わなかったんだけど、何故にこの反応?


「まあギルマスさんがとんでもない事をしでかしたからね。」

 ナニとは言いませんが。

「副ギルドマスターさんが来ては駄目というから、私は物陰でじっとしていた。」


 あ、副ギルマスさんがそんな事を言ってくれたんだ。そして自分はあれの被害に。

 今度会ったらおいしい果物でも差し入れしよう。

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