第163話 デルタさんからいい知らせが

 僕達4人はそれなりにレベルも上がっているので、多少魔力を使っても問題ありません。


 ただ、レイナウトが今放っている斬撃も、セシルが放っている剣先からの放出も、見た目は派手ですが、それとは裏腹にそれ程魔力を消費していません。

 それに今は回復系のポーションもあります。


 冒険者ギルドの副ギルドマスター・マウト女史が急ぎ駆け付けた時、僕達が戦う姿を見て同行者に何やら命令し・・・・大量のポーションを運ばせていたようです。


「さあデルク君、受け取りなさい!」

 そう言って高い場所から袋を投げつけて・・・・どこに投げているの!


 精霊が受け取ってくれました。

【あーんしてあげよっか?】

 光の精霊フォスさん。

「デルクには私から。」

【あーん♪流石は本妻様ね?】


「ほ、本妻??」

【そうよ?とってもお似合いよ?だから・・・・少しぐらいいいわよね?】

「ななな何をいいいい言っているんだ!」

【フォスさん何言っているのかわからないけれど、セシルに渡してくれないかな?魔力の回復ポーションならありがたいんだけど。】


【仕方ないわね!はい本妻さん♪】

「私が本妻・・・・デルクの本妻・・・・」


 ねえ精霊さん、確かフォスさんだったよね、何をセシルに言ったのかわからないけれど、セシルが変になっちゃったよ。


「セシルどうしたんだい!まだいいけれど、その中身は?」

 レイナウトが近くに居たセシルに駆け寄って、カバンを受け取ってくれたよ。


「おお!これはポーションじゃないか。デルク中身は分かるかい?」

 レイナウトはカバンを僕に投げてよこします。

 今僕達の周囲には魔物がいません。何せ魔物を片っ端から仕留めてしまったので、近づく魔物はある一定の範囲よりこちらへやってくる前にドロップアイテムに変わってしまうからです。


 僕はカバンを受け取り、中身を確認します。

 魔力の回復ポーションと、怪我の回復ポーションだね。

「赤色が怪我に。青色が魔力を回復する。それぞれ適当に持っていて。」

 急ぎ3人に渡していきます。

 まだ誰も魔力の枯渇には至っておらず、暫く必要なさそう。


「さて今からどうしよう。街の周囲はまだまだ魔物が居そうだけれど。僕達の周囲は精霊達が逐次迎撃してくれているし、ドロップアイテムを回収しようか?」


 まだ街周辺は何もない平原ですからいいのですが、森の中だとドロップアイテムを回収するのも大変。

 本当なら、地上で活動している魔物は仕留めればそのまま死体が残るので分かりやすいのですが、ドロップアイテムは下手をすれば牙や爪とか小さな物があります。

 もし落ち葉に隠れてしまえば発見は困難を極めます。


「おーい、この周囲は安全そうだな!他の冒険者にドロップアイテムの回収を指示しようか?魔物を仕留めるのは厳しいが、そう言った方面なら助ける事が出来る!」


 マウト女史が上から伝えてくれますが、今現在居合わせている冒険者のレベルはせいぜい高くても6。


 中層の魔物では厳しいと言わざるを得ないかな?

「じゃあお願いします。」

 そんな事を話していると、デルタさんから連絡が。


【ダンジョンから溢れている魔素がデルク様達が消費する魔力を常に下回りました。これによりこちらも別の対策を実行できます。取り急ぎ魔素の乱れを落ち着かせる設備を稼働できる状態を目指します。あと1時間程で起動できるでしょう。】


 魔素の乱れを落ち着かせるって、そんな設備があるんだ。

 ダンジョンって不思議な場所。

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